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大相撲PRESSBACK NUMBER
「単純なぶつかり合いなら…」『サンクチュアリ』撮影参加の一流アメフト選手に聞いてみた「相撲とアメフト、どっちが強い?」
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by本人提供
posted2023/07/21 17:00
日本アメフト界では現役トップクラスのラインマンであるotonari福岡SUNSの岩元駿介
「ぶつかり合いなら圧倒的に上なのは…」
実際の相撲部屋さながらの稽古で、相撲上がりの俳優たちに何度も土俵から押し出され、投げ出されながら一方で岩元は“力士”のすごさも目の当たりにしていった。
「もちろんアメフトは横の動きもあるので、純粋に比べることはできません。でも、単純なぶつかり合いなら間違いなく力士の方が圧倒的に上です。現役の自分と、すでに現役を退いた元力士の皆さんですらそう感じた。
だとするならば、現役の関取や横綱は一体どんなレベルなんだろう……と正直、気が遠くなる思いでした。それまでは特段の関心はなかったけど、いちアスリートとして相撲への興味はめちゃくちゃ湧くようになりましたね」
慣れない環境に加えてハンデとなったのが、岩元の拠点が九州だったことだった。もちろん平日は通常の仕事があり、土日は本職のフットボールの練習や試合もある。そんな中で継続して、半年以上続く異例のオーディションに挑み続けるのは過酷なスケジュールだった。
他の役者たちは毎日のように稽古をしている中で、何とか岩元も週1回は東京に行く時間を作って相撲の稽古を続けた。しかも、それだけやっても役者として採用されるかはまだ分からなかった。
「最初は冗談半分で受けましたけど、さすがに半年とか続けていると『これだけやったんだから、受かりたいな』という気持ちが強くなってきて。大変でしたけど、とにかく必死にやっていました」
撮影に理解を示してくれた所属チーム
一方で幸運だったのは、チームの理解が大きかったことだ。
これだけの時間をオーディションに割くということは、もちろん本職のフットボールへの影響もゼロではない。トップリーグで日本一を目指して戦うチームにおいては、批判があってもおかしくないケースではある。
「チームの代表からは、『オーディションを優先していいよ』ということは言われていました。というのも、さっき言ったようにアメフトってマイナー競技なわけじゃないですか。結局『チームの勝った、負けたなんて、どれくらいの人が気にしているの?』というのが僕と代表の共通認識としてあって。
極論、結果を気にしてくれるファンがひとりもいなかったとしたら、勝ち負けなんてなんの意味もないわけです。じゃあ、長期的なスパンでみたらこのオーディションを頑張って、役を取って、注目度が上がってファンが増える方がよっぽどいいだろうと」