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「単純なぶつかり合いなら…」『サンクチュアリ』撮影参加の一流アメフト選手に聞いてみた「相撲とアメフト、どっちが強い?」 

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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posted2023/07/21 17:00

「単純なぶつかり合いなら…」『サンクチュアリ』撮影参加の一流アメフト選手に聞いてみた「相撲とアメフト、どっちが強い?」<Number Web> photograph by 本人提供

日本アメフト界では現役トップクラスのラインマンであるotonari福岡SUNSの岩元駿介

「え、こんなにデカい人間がいるの?」

 そうして書類審査を通過すると、今度は7月に東京で一次オーディションがあるという。勇んで九州から遠征すると、そこで度肝を抜かれる出来事に遭遇する。

「6人くらいのグループに分かれて数日間のオーディションだったんですけど、その中に主人公のライバル力士である静内役の住(洋樹)さんがいたんです」

 住は十両の飛翔富士として活躍した元力士で、現在も193cm、260kgの体躯を誇る。

 日本にいれば、普段は自分より大きな人間に出会うことはほとんどない岩元だけに、その衝撃は相当なものだった。

「『え、こんなデカい人間がいるの?』とシンプルに驚きました。こんな人ばっかりだったらさすがに無理だろ……と」

 後に公開された『サンクチュアリ-聖域-』を見れば、作中でも住のサイズが群を抜いたものであることは容易に理解できる。ただ、この時点では誰にどんな役が当てられるのかも決まっていない状態。はじめて見る“自分よりデカい人間”に面食らいながら、それでも何とか岩元はオーディションをこなし、一定の手応えを得て帰ってくることができた。

 そして無事、一次オーディションの通過が決まった。

 再度、東京に呼ばれると今度は「相撲の稽古」がはじまると言われた。それはそのまま二次オーディションにもなるという。

「正直、そう言われて自信はあったんです。自分は現役のアスリートだし、ぶつかり合いも慣れている。これはチャンスだろうと」

土俵で感じた”相撲”と”アメフト”の大きな違い

 ところが、実際に土俵に上がって稽古をしてみると、フットボールと相撲のあまりの違いに戸惑いを隠せなかった。

「普段、僕らはスパイクを履いて人工芝の上で力を込めている。ところが相撲は裸足で、下は砂ですよね。やってみると、滑って全く力が入らないんです。それから、アメフトだとニーアップ――つまり膝を高く上げて強く踏み込むことで当たりの強さを出すんですが、相撲だと摺り足が基本。競技として全く別物なんです」

 心技体のすべてを限りなく力士そのものに近づけるため、出演候補者はハリウッドで活躍する肉体改造の専門家や、スポーツトレーナー、栄養士の指導も受けたという。

 作中では何度も取りざたされた“四股”も、アメフトのトレーニングで行った経験もあった。ところが、稽古を通じて自分がこれまでやってきた四股がいかに「なんちゃって」だったのかも思い知らされたという。「100回の四股を踏む」と言われて意気揚々とはじめたものの、最初は十数回しかできなかった。また、慣れていると思っていたぶつかり合いも、普段のヘルメット越しとはまるで違う迫力と怖さがあった。

【次ページ】 「ぶつかり合いなら圧倒的に上なのは…」

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