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キンタロー。「水泳の授業は地獄でした」 明かした“自分の容姿”へのコンプレックス…ブレイク前夜を支えた“社交ダンス恩師と石橋貴明の言葉”
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph byShiro Miyake
posted2023/07/19 11:03
ベストボディ・ジャパン出場でも注目を集めるキンタロー。競技ダンス、ものまね、これまでを振り返ってもらった
「コンプレックスを抱えている人の痛みが分かる」
キンタロー。 一方で、私には天性の才能はないけれど、強みもあると思う。それは、大学で後輩に指導したり、卒業後にダンス講師としてレッスンしている時に感じました。努力や工夫によって習得したものって、他人に伝えることができるんです。でも、容姿も含めて天性の才能に恵まれている人って、「なぜ出来るのか」が分からないから、選手としては素晴らしくても、講師としてはイマイチというケースがけっこうあるらしくて。私の場合はポーズからメイクの方法、ドレス選びに至るまで、コンプレックスを補うためにどうすればいいのかを常に考えていたので、教える際にはそれが役立ちました。
あと、コンプレックスを抱えている人の痛みも分かるんですよね。コンプレックスがあると、自分に自信が持てず、遠慮気味にパフォーマンスしがちなんですが、それじゃ審査員の目に留まらない。「ちょっと過剰かな」と思うぐらい振り切ってパフォーマンスすることで、コンプレックスを補えるし、それを後輩や生徒にも伝えられたと思うんですよ。
キンタロー。を救った「タカさんの言葉」
――振り切ってパフォーマンスという点は、芸人になってからのモノマネにも通じているかもしれませんね。お笑い芸人になってからは、容姿に対する思いは変化しましたか?
キンタロー。 私の体型はダンスを教える際は強みになっても、プロの選手として第一線でやっていくには不利であることには変わりなかったんですが、お笑いの世界だとこの体型が大きな武器になったんです。
そう気づかせてくれたのは、2012年に『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で前田敦子さんのモノマネをやって優勝した時に、石橋貴明さんがかけてくれた言葉です。この番組では、収録後に石橋さんが出演者全員に一人ひとり、感想を言ってくださるのが恒例なんですよ。スタジオの裏にずらっと出演者が並んでいて、私の番が回ってきたら、石橋さんは開口一番、「キミ、銀行の置物?」って(笑)。「この体型で、しかも踊れるなんてラッキーだよ! 面白いから絶対に売れる。これから忙しくなるから準備しておいたほうがいいよ」ってすごく褒めてくれたんです。
それで初めて、「この世界では私の体型って武器になるんだ!」って、すごく勇気づけられた。石橋さんのあの言葉は、一生忘れられないですね。
《#3に続く》
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