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「世界がヤマモトを恐れている」男子バレー9連勝の中心で光るリベロ山本智大(28歳)の“魅せる守備”がスゴい…高橋藍にも伝授?
posted2023/07/07 11:01
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
AFLO SPORT
縁の下の力持ち。職人——。
もちろん褒め言葉なのだが、リベロに対して抱かれがちなそうした“陰の立役者”的なイメージを、この人は変えつつあるのかもしれない。男子バレーボール日本代表のリベロ・山本智大(28歳)である。
現在開催中のネーションズリーグ2023の予選ラウンドで、日本は開幕から無傷の9連勝で単独1位に立ち続け、上位8カ国によるファイナルラウンド進出を早々と決めた。勝ち続ける日本の中心に、守護神の山本がいる。
国際映像も注目する“プレーと表情”
ネーションズリーグは各開催国のホストブロードキャスターが制作する国際映像がVOLLEYBALL WORLD TVの配信や、日本ではBS-TBSで放送されているが、その映像には得点を決めたスパイカーだけでなく、たびたび山本の表情が映し出される。それにもうなずける。得点チャンスを生み出す驚異的な守備力はもちろん、山本の感情豊かな表情やしぐさも、見るものを惹きつけ、楽しませてくれるからだ。例えばディグ(スパイクレシーブ)が上がらなかった時は思い切り悔しがり、自身の好守備から得点につながれば「オレ、オレ!」とアピールする。
世界ランキング22位の中国(日本は6位)に大苦戦した7月4日の試合では、第2セット終盤、山本のディグがそのまま相手コートの奥に落ち、自ら得点を奪って流れを引き寄せ、フィリピンの熱狂的な観客をさらに沸かせた。
開幕9連勝中の日本の快進撃の要因は、海外リーグで経験を積んだスパイカー陣の得点力アップや、それを最大限に活かすセッター関田誠大のトスワーク、バリエーションが増えたサーブなどいくつも挙げられるが、ディフェンス力によるところも非常に大きい。
男子日本代表のフィリップ・ブラン監督は、「日本はディフェンスが機能することによって調子を上げていくチーム」と言う。
ブロックとの連携も含め、ブラン監督とスタッフ陣が練り上げた戦術を、高いレベルで実行する理解力と技術が日本にはある。特にブラジル戦は驚異的なディグやつなぎを連発し、百戦錬磨の相手でさえ粘り負けしてミスを出す場面があった。
リベロ並みのディグ力を持つ高橋藍や関田はもちろん、ミドルブロッカー陣も懸命にボールに飛び込み、つなぐ。その守備の核になっているのがリベロの山本だ。相手スパイカーが狙いすましてブロックの脇を抜いた渾身のスパイクをことごとく拾い、相手を追い詰めていく。