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「選ばれるのは2人だけ…」伊藤美誠、平野美宇、早田ひなは“親友で同学年でライバル” 熾烈すぎる代表争い、日本卓球女子は今「黄金期」なのか?
posted2023/07/07 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
そのニュースは、国内のみならず海外でも大きく報じられた。7月2日、クロアチアで卓球のWTTコンテンダー ザグレブの決勝が行われ、平野美宇が世界ランク1位の孫穎莎に勝利して優勝。卓球で圧倒的な力を見せ続ける中国の、しかも1位の選手を破ったのだ。この大会では準々決勝から3戦連続して中国勢に勝利しての優勝だったが、孫からの勝利の価値こそ大きいと言える。
「すごくうれしいです。自信になりました」
と平野は振り返る。
以前は中国の選手に当たると「ああ、中国の選手か」と思っていたが、今年になって「私もいけるかもしれないという気持ちを持てるようになりました」と語っている。練習などで培ってきた力に手ごたえを得ていたことも勝因だろう。
ただ平野は、こう語ってもいる。
「まだ終わっていません」
パリ五輪代表を巡る競争がまだまだ続いていくからだ。
黄金世代の成長→女子卓球界が迎えた「成熟期」
卓球の五輪代表はシングルス代表が2名。五輪選考ポイント上位の2名が自動的に決まる。そして団体戦の1名は総合的な判断のもとで決定される。むろん選手はシングルスでの出場を目指しているが、現在の順位はこのようになっている。
1位 早田ひな 497.5
2位 平野美宇 312
3位 伊藤美誠 275.5
4位 木原美悠 228
5位 佐藤瞳 185
6位 長崎美柚 180
7位 張本美和 170.5
今後、ポイントの対象となる大会が続いていく。順位の変動は十分にあり得る。平野が「まだ終わっていない」と語るのも不思議はない。とりわけ3位の伊藤との差が小さいことを考えれば、安閑とはしていられない。
そして順位を見渡していると、あらためて今の女子卓球界が1つの成熟期にあるとも受け取れる。1位の早田から3位の伊藤は2000年生まれの同学年。早くから「黄金世代」と呼ばれた選手たちがその期待の通り、牽引しているからだ。