オリンピックへの道BACK NUMBER
「選ばれるのは2人だけ…」伊藤美誠、平野美宇、早田ひなは“親友で同学年でライバル” 熾烈すぎる代表争い、日本卓球女子は今「黄金期」なのか?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/07/07 11:00
6年前、2017年の全日本卓球で記者会見に並んで臨んだ伊藤美誠、平野美宇、早田ひな。2000年生まれの「黄金世代」は、たくましく成長してきた
小学生の頃からライバルだった伊藤と平野、追いついた早田
伊藤と平野は小学生のころから全国大会で活躍、ライバルとしてしのぎを削った。
伊藤は2015年、中学3年生で出場したドイツオープンで史上最年少優勝を果たし、同年の世界選手権にも出場。2016年リオデジャネイロ五輪では団体戦で銅メダルを獲得した。
平野も2015年の世界選手権に伊藤とともに代表入りするなど日本の中心をなす1人として活躍。そして早田は2人を追いかけるように階段を上がり、2016年のオーストラリアオープンでツアー初優勝を果たしている。
ADVERTISEMENT
そして今日では、世界のトップを狙う位置に3人はいる。中国の選手たちが警戒してきたように、伊藤の実力と実績は折り紙付きだ。平野は先に記したように金星をあげたが、早田も今年の世界選手権準々決勝で世界ランク3位の王芸迪(中国)に勝利し銅メダル。中国の選手に勝ってのメダル獲得は58年ぶりのことだった。そんな実力を持つ3人がそろっていても、オリンピックに出られるのは2人。容易ならざる競争はこれからも続いていく。
ライバルであり、仲間でもある
ライバルである3人は、一方でダブルスでは一緒に世界に立ち向かってきた。
伊藤と平野は中学2年生のときに出場したドイツオープンでワールドツアー初優勝、2人の合計年齢は史上最年少としてギネス世界記録に認定されるなど国内外で結果を残している。
伊藤と早田は2017年の世界選手権のダブルスで銅メダルを獲得。全日本選手権でも5連覇を達成するなど世界屈指のペアとして活躍する。
平野、早田は“オリンピック補欠”も経験して成長
ライバルでもありともに戦うパートナーの関係でもあった3人は、互いを意識しつつ刺激も得て、あるいは支え合いながら進んできた。リオデジャネイロ五輪で平野は補欠となり現地に帯同。練習相手を務め、ボール拾いをするなどサポートに尽くした。
東京五輪で同じ立場にいたのが早田だ。伊藤、平野らのサポートに徹した。大会を終えて、早田はSNSにこうつづっている。
「『なんとか勝たせてあげたい!』『勝って笑顔にさせてあげたい!』
2週間の中でそう思うことが何度も何度もありました。
だからこそ3人の選手の気持ちを感じ取りながら今これは大事なのか大事じゃないのか、やるべき事なのかを常に考え選手を一番に考えて行動することができたと思います。」