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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クボの献身に仲間、ファンも徐々に心を」ソシエダサポが選ぶMVP久保建英…愛された1年目を“2000枚超撮影”カメラマンが見た名シーン
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/06/26 11:00
2022-23シーズンの久保建英は、マンオブザマッチ(MOM)9回という特筆すべき成績を残した
久保が勝利に貢献したELアウェイでのマンチェスターU戦の直後だったこともあり、ヘタフェ戦での失速ぶりは強調されて映ったが、ローテーション起用によってチーム力が大きく左右されてしまうこと、シーズン中のエースの移籍など、ソシエダのクラブの規模を痛感させられる時期となった。
さらにイサクの代役として補強されたはずのサディクが前十字靭帯断裂により今季絶望となってしまうなど逆風も吹き、前途多難を感じさせた。
相棒セルロートのゴールを演出するとファンは…
それでも――久保にとってリーガ通算100試合目となる第6節のエスパニョール戦で浮上のきっかけをつかむ。シーズンを通しての相棒となるセルロートと初めてツートップを組んでの出場となった。久保の猛烈なGKへのプレッシングにより、セルロートがゴールを奪う。この時、ゴールを奪ったセルロートではなく、自然とアシストを決めた久保のもとへ選手は集まりセレブレーションを行った。
この日は久保にとってリーガ100試合出場の節目だった。さらにこの頃から背番号14のプレーに、サポーターから〈TAKE〉というような声が聞こえ始めていた。献身的なプレーがチームメイト、サポーターの心を掴み始めていたのだった。
久保の今季2ゴール目は第7節、2週間の代表ウィークを挟んで迎えたジローナ戦だった。
先発の久保が、開始早々シルバからのパスに反応し鋭いグラウンダーのクロスでセルロートの先制点をアシスト。幸先良いスタートを切ったが、ジローナの反撃を受けリードを許す展開となった。しかし久保の1ゴール1アシストもあり、最終スコア5-3の乱打戦をソシエダが制している。
22-23シーズンは、半ばにFIFAワールドカップでの中断期間があるというイレギュラーなものだった。ELを戦うソシエダにとってその影響は大きく、10月2日のジローナ戦より、W杯前最後となった11月9日セビージャ戦まで週2試合のペースが続いた。
この中には、久保にとって古巣となるビジャレアル戦、マジョルカ戦もあった。チーム状況によるものだったが、この頃には左サイドでのプレーが板につき、日本代表での起用にも影響を与えるなど、久保にとって新境地開拓の試合が相次いだ。
クラブ史上初の8連勝、高評価が暗転した脱臼
第10節のマジョルカ戦まで、ソシエダはリーガ5連勝を飾って順位を3位に上げた。またELの試合も合わせるとクラブ史上初となる8連勝の快挙を達成した。
好調なチームの中でも久保の存在感は試合毎に高まっていき、相手GKへのプレッシングが代名詞になる程の運動量とチームへの貢献から、ホームスタジアムでの交代の際にはスタンディングオベーションが起こることも増えていった。