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“日本代表ミドルシュート苦手問題”は克服できる?「意外と近い」「最近は意識的に」実は名手・遠藤航と鎌田大地、伊藤洋輝の一撃がヒント
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/06/22 17:03
鮮やかなミドルで代表初ゴールをマークした伊藤洋輝。シュートレンジの広さは左SBとして武器になりそうだ
デュエル王の印象が“強すぎる”遠藤だが、ミドルシュートでも興味深いスタッツを残している。今季のリーグ戦で3本のペナルティエリア外からのシュートを決め、ブンデスリーガでは4位タイだった。その数字を残した価値を理解している人は少ないのかもしれない。
ヨーロッパ5大リーグに範囲を広げても「リーグ戦でのペナルティエリア外からのゴール数」で、遠藤を上回っている選手は19人しかいない。その事実がエリア外からゴールを決める難しさと価値が表れている。
ミドルはフィジカルだけで決めるものではない?
ミドルシュートを決めるには、フィジカル能力が求められる――ように思われがちだが、遠藤の実感はそうでもないようだ。
今季開幕直後の第2節ブレーメン戦で豪快なミドルシュートを決めたあたりから、地道な練習で得た感覚と、実際にゴールが決まる感覚とが一本の線でつながったような感覚があった。
「ミドルシュートの練習を繰り返していくなかで、力みすぎて打つようなことがなくなってきました。もちろん、若い頃にミドルシュートを打っているときと比べてパンチ力という意味では間違いなく向上していることが、力を入れる必要がないという感覚ともつながっているのかもしれませんが……それでも、ロングボール(を蹴る時のようにキックの質)を変える感じでシュートを打ってしまうと、上手くいかないと気がついて。
結局、少しリラックスして脚に当てようと意識したほうが良いコースに行くというか、入りやすい。それに、そこまで速くないボールだったとしても、良いコースへ飛べば、キーパーは止めるのが結構難しいんですよ」
鎌田もまた、ドイツでミドルの意識を磨いている
もう1人、ミドルシュートという観点から語るべき日本代表の選手がいる。
ドイツメディアに「KING Kamada」と呼ばれていた鎌田大地だ。
今年の2月末のこと。欧州5大リーグの「公式戦」のエリア外からの総ゴール数が、メッシにつぐ2位タイ(あのバルベルデと同じ)だとデータサイトのOptaから発表されて、大きな話題となった。
翌月、そんなデータについて本人に尋ねると、鎌田はニヤッとした表情を浮かべながらこう答えた。
「そのデータは“ラッキーフリーキック”とかも入っているんじゃないですか?(笑)」
「ラッキーフリーキック」というのは、相手のGKのキャッチミスに近い形で決まった鎌田のFKのことだ。
ただ、冗談を口にした後、鎌田は“ボランチでの出場が増えたこと”が進化を促した要因の1つだと明かした。