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オカダ・カズチカが「1・2・3、ダー!」を叫んだリングに清宮海斗の姿はなく…「オカダをぶっつぶす!」敵地・新日本に乗り込む26歳の決意
posted2023/06/14 17:12
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
「1・2・3、ダー!」
6月9日、両国国技館。新日本プロレス、プロレスリング・ノア(NOAH)、全日本プロレスの3団体の選手たちが集った『ALL TOGETHER AGAIN』を締め括ったのは、やはりオカダ・カズチカだった。
大団円の中に清宮海斗の姿はなく…
リング上にはまだ会場に残っていた出場選手たちも集まり、「コロナ禍からのリスタート」という位置づけで開催された大会のフィナーレに相応しい大団円の光景が生まれた。
観客も立ち上がり、「ダー!」と叫んでいる。団体ごとの応援席も設けられていたが、「ダー!」の前ではその垣根は存在しなかった。拳を突き上げる観客の顔は、どこを見ても笑顔だった。見ているだけで元気が湧いてきそうなその光景は、試合中も勝利後も交わすことのなかったグータッチを、オカダと拳王の間で成立させるほどの力を持っていた。
リングにはメインで敗れてしまった棚橋弘至の姿も、彼とチームを組んだ宮原健斗の姿もあった。しかしメインを戦った中でただ1人、26歳の清宮海斗の姿だけはなかった。
この日は3団体のジュニア王者が一堂に会する試合や、IWGP世界ヘビー級王者とGHCヘビー級王者との遭遇もあったが、メインイベントは棚橋とオカダ(新日本)、清宮と拳王(NOAH)、宮原と青柳優馬(全日本)という3団体の黄金カードを組み合わせた豪華6人タッグマッチだった。
6人は1人ずつ入場してきた。1人目はもちろん、三冠ヘビー級王者時代から先に入場して観衆の視線と声援を独占する宮原だ。そこから清宮、棚橋、青柳、拳王と続き、最後がオカダだった。
リングに入ったオカダはコーナーでレインメーカーポーズをとると、続けてガウンをはだけさせ、ベルトを露わにした。いつも通りの所作だったが、それだけで国技館が「おお!」というどよめきに包まれ、ボルテージが一段階上がった。腰に巻いているベルトが、IWGP世界ヘビー級王座ではなく、NEVER無差別級6人タッグ王座であるにもかかわらず、だ。
この日はすでに3団体のシングル王者が試合を行っており、観衆はそのベルトも見ていた。さらに、NEVER無差別級6人タッグ王座はオカダ・棚橋・石井智宏組で所持しているため、この試合で3人目に登場した棚橋が披露済みだった。それでもオカダがベルトを見せつけると国技館は大きくどよめき、明らかに熱気が高まった。