SANADAは「ロス・インゴ包囲網」を切り抜けられるか

　試合の見どころとしては、SANADAのデッドフォールを辻が手をついての側転のような身のこなしで切り抜けたシーンがあげられる。そこには「ああ、こういうディフェンスがあるんだ」という驚きがあった。

SANADAのデッドフォールを側転のような動きで切り抜ける辻陽太

　飛び技の失敗は双方にあった。一方で辻の荒々しさ、強引な踏みつぶしは目を引いた。

　SANADAは辻のスピアー・タックルだけはかなり警戒していた。1カ月前にこれでリング上に大の字にされ、屈辱を味わったからだ。

　辻もSANADAを研究してきたのがよくわかった。シャイニングウィザードも両手でブロックして払った。

　もう一歩だったが、そこは「ウィスキーは寝かした方がいい」とか「ベテランに近い域に入っている」（SANADA）といった理由で、SANADAの方が辻より上だったということか。

　追い込まれたSANADAだったが、辻のスピアー・タックルを低空ドロップキックで迎撃して勢いづいた。

辻陽太のスピアーを低空ドロップキックで迎撃するSANADA

　最後はムーンサルト、シャイニングウィザード、そしてデッドフォールというフィニッシュの流れで3カウントを奪ったが、危ない場面も何度かあった。

　戦いがしんどかったせいだろうか、SANADAは大阪のファンへの勝利のメッセージも吹っ飛んでしまったのか、いくらか間が抜けたものになった。それでも「『G1 CLIMAX』では優勝して、IWGPの挑戦者はこっちから指名する」と宣言した。

SANADAは辻陽太に苦しめられながらも3カウントを奪い、IWGPのベルトを死守した

　もしそうなれば、SANADAの指名はベルトにニヤニヤと色気を見せたタイチのような気もするが、ロス・インゴからの次なる刺客となると鷹木信悟が有力だろう。SANADAへのロス・インゴ包囲網が続くことになる。

　大一番で観客の心をつかんだ辻は、戦場をメキシコのCMLLから新日本プロレスに戻し、6月10日から始まるシリーズ『NEW JAPAN ROAD』でロス・インゴのメンバーとタッグを組む。最初はJust 5 Guysとの10人タッグマッチ5連戦だ。

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