「プロレスラーは欲張りじゃないと」

　離脱者が相次いだコズエンをめぐっては、中野と白川の間で激しい舌戦が繰り広げられた。

「プロレスラーとして三冠という夢を語って何が悪いの。ボロアパート（コズエン）から引っ越しできてよかった。私はあなたの背中を追っているんじゃない。あなたをぶっ倒すためにここにいる」

段ボールで中野たむを挑発する白川未奈

　中野には否定されたが、白川は3本のベルトそれぞれに対応できる自信がある。

「欲がもっと出てきました。白いベルトは前からすごく欲しかった。私が三冠王者になっても、白は中心のベルトだと思う。もっと輝きたいと思っている。防衛戦は白だけ、赤だけ、IWGPだけでもいい。もし、3本まとめてやりたい人がいれば、それでもいい」

　5月4日の福岡大会を終えて、白川は「やっぱりIWGPを加えた三冠しかない」と感じるようになったという。なつぽい相手の初防衛に成功して「赤白戦」をぶち上げた後、だんだんと“IWGP”と“史上初”という2つのキーワードが白川の頭を支配した。

白川未奈は5月4日の福岡大会でなつぽいと対戦。白いベルトの初防衛に成功した

「1年前に私が白いベルトのチャンピオンになれるなんて、だれも思っていなかったでしょう。でも、私は欲しかった。それを口に出して言ってきたことで、現実になった。私、プロレスラーは欲張りじゃないと上がっていけないと思っている。白いベルトに到達したら防衛戦も大事だけれど、次の夢ができた。三冠という夢をぶち上げちゃった。人生は本当に短いし、最後に死ぬのは決まっている。すべてやり切って死ぬのは無理かもしれない。だから私は常に夢を追いながら死ぬのかなぁ、と思っている」

　白川は「死」という誰もがいつか直面することになる運命について、真剣に話した。

「欲を持つということは、欲しいと思ったものを手に入れるために、より一層自分を追い込まないといけない。高い目標を設定することによって、私はもっとシャカリキになれる。強くなりたい。私はもっと強くなる。そして、三冠王者になったら、誰にも文句は言われないでしょう」

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