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店員さんもビックリ「こんなに売れるとは」…渡辺明名人と藤井聡太竜王が頼んだ“名人戦のおやつ”ってどんな味? 記者が実際に食べてみた
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byNumber Web
posted2023/05/12 17:05
4月28日、「浮月楼」での名人戦第2局を終えて感想戦を行う渡辺明名人(右)と藤井聡太竜王。同対局では“おやつ選び”も注目を集めていた
茶っふるは味のバリエーションが豊富だ。今回、渡辺名人と藤井竜王に提供されたのは「本山」と「静岡いちご」だったが、名人戦で話題になった直後ということで、午後4時前にはどちらも売り切れになっていたそうだ。編集者によれば、店員さんは「まさかおふたりとも頼んでくれるなんて……! これをきっかけに繁盛してくれるとうれしいですねえ(笑)」とホクホク顔だったという。
実食したのは、店内に残っていた他の味の茶っふる。抹茶の濃い「天竜」、やさしい味わいの「岡部」、爽やかな「新茶」に香ばしい「ほうじ」、さらに「レアチーズ」「チョコ」と計6種類を購入。いずれも100円台と実にリーズナブルな価格設定である。6個買ってもお会計は1000円以下なのだから、かなりお手ごろだ。一口サイズで食べやすく、ふわふわの生地に包まれた抹茶クリームの味わいも絶妙だった。お腹が空いていたので、一気に3個ほどパクリと食べてしまった。
渡辺名人が頼んだ「徳川四天王のタルト」のお味は…
そして、もう一品。
午前中のおやつとして渡辺名人がオーダーした「漆黒の甲冑と徳川四天王のタルト」(キルフェボン)だ。金箔がちりばめられたビジュアルも美しい一品は1ピース900円。こちらも売れ行きは好調らしく、にぎわう店内では多くの客が「徳川四天王のタルト」を注文していたそうである。
編集者によると、キルフェボン静岡店の店員さんは「名人戦のおやつの候補に入ってからというもの、四天王のタルトの売れ行きはスゴいです。今日はほとんどのお客様がこちらを購入されていかれました。渡辺名人に頼んでいただいて、本当にありがたいかぎりです」と感無量の様子だったという。
いざ実食。サクサクのココアタルトとしっとりとしたチョコクリームが、快い食感を生み出している。ジャンドゥーヤのナッツの香りとクランベリーの酸味に加えて、上部にはキンカン、トンプソン(ぶどう)、いちご、2種のベリー、オレンジピールが乗っており、チョコレートの濃厚な甘味を絶妙なバランスで引き立てている。まさに豪華絢爛、晴れやかな名人戦の舞台にふさわしい高級感あふれるフルーツタルトだった。
なぜ「おやつ」に注目が集まるようになったのか
タイトル戦における「おやつ」が注目され始めたのは、ニコニコ生放送での将棋中継が始まった2010年代からではないだろうか。
コロナ禍以前のタイトル戦では、将棋盤を挟みながら対局者がそれぞれおやつを食べていた(現在は別室で食べているため、中継映像には映らない)。将棋ファンにとっては、おやつをめぐる棋士たちの所作も楽しみの一つだったのである。
例えばイチゴのショートケーキならば、イチゴから行くのか、スポンジから行くのかなど、「どういう順番で攻めるのか」に棋士の性格やこだわりが出る。また、「どのタイミングでおやつを食べ始めるのか」でもよく盛り上がっていた。