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《独占》「ダイスケはお気に入りのライバルでした」パトリック・チャンが今明かす、現役引退・高橋大輔への思い「いつも温かく優しかった」 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byL)Asami Enomoto、R)AFLO

posted2023/05/12 17:04

《独占》「ダイスケはお気に入りのライバルでした」パトリック・チャンが今明かす、現役引退・高橋大輔への思い「いつも温かく優しかった」<Number Web> photograph by L)Asami Enomoto、R)AFLO

現役引退を発表した高橋大輔への思いを、かつてのライバル、パトリック・チャン氏が明かした

 この会場には、『カサブランカ』の振付をしたサンドラ・ベジックも姿を現した。フィギュアにおいて振付師という存在を確立させた、レジェンド的存在である。

「サンドラやローリー(・ニコル)のように、中身の濃いプログラムを時間をかけて作る振付師も少なくなったし、その質を求める選手も少なくなりました。でも誰のことも批判しているのではありません。スケーターは勝つために、求められたことをやっているだけ。ISUの方向性の問題だと思います」

スケート界の現状に「ロシア選手には敬意を持っているけれど…」

 最後に、ロシアの選手が国際大会に不参加である現状についての意見を聞いてみた。

「僕たちはみんな、ロシアのスケーターを見て、彼らのスケートに敬意を持ちながら育ってきました。ロシアの最高のコーチ、トップレベルの選手たちがこのスポーツに与えた影響は計り知れません。でも残念ですがルールはルール。スポーツの才能は、ドーピングと戦争という、もっと大きな問題の前にはかすんでしまう。ロシアは国家として、システム的なドーピングをしたことをまだ認めていません。そして戦争は、世界中に影響を与えている。ロシアにも、ロシアのスタイルにも敬意を持っているけれど、彼らもそろそろモダン社会に参加して、国際ルールを守らなくてはなりません」

 さらにこう言葉を続けた。

「世界が分裂してしまったことは残念です。僕は(イリヤ・)クーリック、(アレクサンドル・)アブト、(アレクセイ・)ヤグディン、(エフゲニー・)プルシェンコなどを見て育ち、彼らは僕のスケートにも大きな影響を与えてくれた。彼らがいなくては同じではない。でもロシアがいない大会のチャンピオンは、本物ではないというのは違うと思う。このスポーツは他者との闘いではなく、自分との闘いですから。彼らがいなくて寂しい。でも彼らが戻って来るには、まだまだ時間がかかるのではないかと思います」

 バンクーバー、ソチ、平昌と3つのオリンピックを経た元世界チャンピオンは、そう言葉を結んだ。

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