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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
不動産業との兼業も…“高橋大輔のライバル”だったパトリック・チャンが4年ぶりのショー復帰を決めた理由「音楽表現は以前よりうまくなった」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2023/05/12 17:03
インタビューに応じたパトリック・チャン氏
一時期は氷の上に上がることがほとんどなくなった
パンデミックの影響でパトリックは氷の上に上がることがほとんどなくなったという。
「一時はスケーターだった過去を忘れて、まったく新しい人生を歩むこともできるかもしれない、と思ったんです」
それでもやはりスケートに戻りたい、という気持ちが湧いてきて「スターズオンアイス」に復帰することを決めた。現役当時に比べると、一時は体重が25ポンド(約11キロ)くらい増えたという。だが目の前にいるパトリックは、4年前に比べてそこまで体形が大きく変わったようには見えない。「1月にトレーニングを再開してから、(妻の)リズが厳しいダイエットの食事を用意してくれたんです。少なくとも10-15ポンド(約4.5キロ-7キロ)は減量できたと思います」
4年ぶりの復帰…「今でも緊張します」
1月にトレーニングを再開し、スケーティングの感触はすぐに戻ってきたという。だがジャンプを跳ぶのに恐怖心があり、1回転、2回転から始めていった。「またごく自然な感触で跳べるようになるまで、2~3週間はかかりました」。このショーでは3サルコウ、3トウループなどを披露した。「でもまだ3サルコウを跳ぶ前に、ちょっと怖いと思うこともあるんですよ。現役当時は、半分寝てても出来ていたのに」と苦笑する。
もっとも大変だったことは、何だろうか。
「精神的なことかな。試合と同じように、アイスショーでも本番は練習とは全く違う。プレッシャーを感じながら観客の前で滑るという感覚は久しぶりで、今でもショーの前半はものすごく緊張します」
4月の末にハリファックスで開幕したこのツアーは、トロントで4公演目だ。
「技術的な面では、タイミングを取り戻すこと。上半身の無駄な力を抜くことが難しいです。気が付くとつい、肩に力が入ってしまっている。でもスケーティング、そして音楽を表現することは年齢を重ねて以前よりうまくなったと思います」