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大谷翔平の“ベーブ・ルース以来104年ぶりの偉業”はアメリカで実際どう報じられたのか?「大谷なら、確実に達成する。何も驚くことはない」
posted2023/05/07 17:01
text by
AKI猪瀬Aki Inose
photograph by
Getty Images
投手大谷が勝つためには、打者大谷が打つしかない
地区優勝争いから脱落したエンゼルスは、8月2日に設定された2022年のトレード・デッドラインまでに先発のノア・シンダーガード、抑えのライセル・イグレシアス、大谷の良き後輩ブランドン・マーシュを放出した。大谷が「モチベーションを保つことが難しくて、8月と9月は長く感じました」と回顧したシーズン終盤。しかし、大谷の思いとは対照的に様々な記録や歴史的偉業が次々と達成されていった。
8月3日、本拠地でのアスレチックス戦。7月13日のアストロズ戦で9勝目を記録して以降、勝ち星がない大谷は、立ち上がりからスライダーを多投。3回終了時点で5奪三振を記録した。ライアンが持つ球団記録7試合連続二桁奪三振も見えてきた序盤だった。
試合が動いたのは4回表、先頭のラモン・ローレアーノが三塁ルイス・レンヒフォのエラーで出塁。その後、大谷のワイルドピッチで進塁し、続くショーン・マーフィーが先制タイムリー。マーフィーは6回にも大谷から試合を決める2ラン本塁打を記録した。
大谷は5回2/3を投げ、7奪三振、3失点で自身3連敗となり、ライアンの記録に並ぶことはできなかった。この3連敗が2022年最長の連敗だったが、連敗中の援護点は3試合合計でわずか1得点だったことを考えると大谷の投球は責められない。結局、投手大谷が勝つためには、打者大谷が打つしかないというのが、エンゼルスの哀しい現実だった。
翌4日、2番指名打者で出場した大谷は、初回に第23号の先制本塁打を左中間スタンドに突き刺した。7回には、インサイドの見送れば完全なボール球を右中間スタンドへ運ぶ第24号ソロ本塁打を放ち、2022年5度目のマルチ本塁打となった。この試合に7対8で敗れたエンゼルスは、1試合7本のソロ本塁打で7得点を記録した史上初のチームとなり、敗戦試合で記録した史上最多タイの本塁打記録となった。