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「アイドルを観る感覚じゃ困ります」WWEから復帰の人気女子レスラーSareeeは“日本の女子プロレス界”を変えるか?「もっと闘いを見せていけたら」 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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posted2023/05/04 17:02

「アイドルを観る感覚じゃ困ります」WWEから復帰の人気女子レスラーSareeeは“日本の女子プロレス界”を変えるか?「もっと闘いを見せていけたら」<Number Web> photograph by Gantz Horie

日本復帰第1戦で橋本千紘と対戦するSareee

「じつはあの試合の数日前からNXT・UKの中でコロナが流行ってしまったことで、試合が流れてしまったんですよ。里村さんとの試合は、自分自身すごく気合が入ってたんです。『自分が本当に見せたいプロレスが、里村さんとだったら絶対に見せられる。やっと世界で自分の本当の姿を見せられる』って。だからこの試合に懸けていたし、ここからガラリとNXTのプロレスを変えてやろうと思ってたんです。それが直前になってできなくなってしまった時は、やっぱりショックでしたね」

 ストーリー展開の流れの早いWWEにおいて、一度消滅した里村vsサレイが仕切り直しで行われることはなく、その後、アメリカで数試合行ったのがサレイにとって最後のWWE出場となった。

「WWEと契約した時は、『世界に自分のプロレスを見せる』という気持ちだったんですけど、アメリカに行ってからの2年間を振り返ると、自分にとって修行だったのかなと思います。たった2年間でしたけど、いろんなことを学ばせていただいたし、これからはここで培ったものも含めて、自分のプロレス、“闘い”というものを見せていきたいですね」

女子プロレスへの違和感「アイドルを観る感覚じゃ困りますよ」

 Sareeeがアメリカに行っていた2年間で、日本の女子プロレスシーンは大きく変わった。新日本プロレスと同じブシロード傘下のスターダムが大きく躍進。プロレスリング・ノア、DDTと同じサイバーエージェント傘下の東京女子プロレスも人気を拡大している。さらに新日本やノアのビッグマッチで女子の試合が組まれるようになるなど、女子プロレスの人気、認知度が大きくあがった。

 この状況をアメリカから見ていたSareeeは、女子プロレス人気が上がったよろこびとともに、その人気がアイドル的な要素を多分に含むことに違和感のようなものを覚えていたという。

「日本で女子プロレスの人気が上がっているのはうれしいし、それは皆さんが努力した結果だと思うので、素晴らしいことだと思います。ただ、私がこだわっている“闘い”という部分が足りないんじゃないか、もっともっと闘いを見せていけたら、みんなが感情移入してもっと盛り上がるんじゃないかなって。

 今、かわいい選手もいっぱいいるし、キレイで華やかでっていうのは大事だと思いますし、いいことだと思うんですけど、ホントに心から闘ってるのかっていうのは少し疑問なんです。ファンの方ももちろんプロレスが好きで観に来られてると思うんですけど、『アイドルを観る感覚じゃ困りますよ』っていう思いがあるので。私が『これが女子プロレスだ!』というものを見せたいですね」

【次ページ】 日本復帰第1戦の相手は橋本千紘

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