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WBC“あの腕組みドヤ顔”アロザレーナがメキシコの英雄に、大谷翔平は米歌姫の恋人候補!? 活躍した選手たちの「スター化」がスゴかった
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2023/04/26 06:00
「腕組みドヤ顔ポーズ」はメキシコで大流行。アロザレーナは一躍メキシコの英雄になった
名声の高まりは、選手自身に新たな機会ももたらす。打撃練習中にカウボーイブーツを履きヒーローインタビューでメキシコ名物のソンブレロを被るなど独自のセンスを光らせるアロザレーナは、最近になってアパレルブランドを立ち上げたという。スポーツ関連のスタートアップ企業「ミリオンズ社」と提携し、自身のイラストが入ったパーカーやTシャツなどのカジュアルウエアをデザイン、販売し始めている。
WBCで号泣…張育成は台湾のヒーローに
WBCの活躍で英雄になった選手といえば、台湾代表だったレッドソックスの張育成内野手もそうだ。地元台湾で開催された1次ラウンドA組で敗退したものの、イタリア戦では同点2ラン、オランダ戦では満塁弾を放ち、4試合で2本塁打を含む16打数7安打、8打点の活躍でA組MVPに選ばれ「台湾のヒーロー」とたたえられた。
張育成は今季、メジャーでの生き残りをかける大事なシーズンだったため、最初はWBC参戦をためらったという。今年1月には台湾側に、代表メンバーに選ばないよう願い出たとも伝えられた。だがそれが台湾の野球ファンの知るところとなり、批判の集中砲火で大炎上。しかし結局は出場することになり、出るからには全力で戦うと誓うと、批判は声援に変わった。
台湾のためにという思いから、大会中にヒットを打つたび塁上で敬礼ポーズをし、それがトレードマークにもなった。1次ラウンドで初戦のパナマに負けた後にイタリアとオランダに連勝し、準々決勝進出の望みが膨らんだときにはファンに鼓舞されて気合を前面に出し、最終戦でキューバに負け敗退が決まったときは人目もはばからず泣いた。
張育成とともに感情のジェットコースターを経験したファンの思い入れは強く、台湾での張の人気と注目度は高まった。大会後、台湾のメディアでは「1次ラウンド敗退だったが、チームは期待以上の戦いをしてくれた」と賞賛され、MLBのシーズンが始まると張育成が活躍するたびに大きく報じられている。
チェコ代表は“首相”に面会していた…
東京ドームで開催された1次ラウンドで日本のファンの心をつかんだチェコ代表もその後、母国で大きな栄誉を受けた。WBCに初出場し中国戦で初勝利まで挙げ、国内を盛り上げた。その功労者として、フィアラ首相から官邸に招待されたのは4月13日のことだった。同首相から「野球はこの国では、人気スポーツというわけではない。アイスホッケー、サッカー、テニスのような国内での長い歴史もない。しかし今回の代表チームの成功は人々から注目され、賞賛されるに値するものだ」とたたえられ、1人ひとりに表彰状が贈られている。