2022年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
「松本人志さんがおもしろいって…これで芸人を続けられる」“音符運び”男性ブランコが語る3年前の絶望「お客さんが減って…夢が絶たれた」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/04/18 11:16
結成11年で初のM-1決勝だった男性ブランコ。浦井のりひろ(ツッコミ担当、写真左)と平井まさあき(ボケ担当)
浦井 そう、うまく。
平井 ウエストランドさんのネタを観ているときも、これは行かれたなー、と思っていましたね。
――結果、ウエストランドの得点は659点で、9点差をつけられ、追い抜かれました。
平井 志らくさんが98点をつけたじゃないですか。あの瞬間に終わったな、と。
浦井 そこまでは「もしかしたら」と思ってましたけど、98でダメだと思いましたね。
――そのときには、もう2本目のネタは決まっていたのですか。
平井 最終的には3回戦でやったネタをやろうと。「音符運び」に比べると、非常にオーソドックスなネタなんですけど。
浦井 本当は決勝までに「音符運び」みたいな空想上の仕事のネタをもう1本、つくろうとしていたんです。もし『音符運び』がものすごく受け入れられた場合、もう1本、同じようなネタを用意しておいた方がいいんじゃないかと。でも、できませんでしたね。
――空想の仕事シリーズって、いろいろ考えられそうですね。
平井 でも、男性ブランコはまた(実際に)ない仕事かい、と思われるのかなという心配もあって。
――2本目のネタ、どういう反応になるか見てみたかったですね。あれも最高におもしろかったので。
平井 ぜんぜん違うタイプのネタやんって思われていたかも。
浦井 そこはどう出るか読めなかったな。だから今回は、ひとまず「2本目も見たかった」と思われるぐらいで終わって、いちばんよかったのかもしれませんね。今後を見据えるならば。
――先ほど、松本さんに褒められて「芸人を続けられる」と思ったと話していましたが、辞めようと思ったこともあったのですか。
平井 解散しようとかまではなかったけど、結成して、ほぼ10年、にっちもさっちもいかない状況が続いていたので。劇場で活躍しているわけでもなく、大阪の賞レースとかでも箸にも棒にもかからなくて。テレビのネタ番組のオーディションもさっぱりだった。じゃあ、僕らがいちばんやりたいのは単独ライブなので、単独でお客さんを集められるような芸人になろうと。それで、2、3カ月に1回、よしもと∞ホールで、めっちゃ気合いを入れて単独を開催したんです。ただ、200席ちょっとのキャパの劇場で、入っても半分くらい。しかも、毎回、ネタの質は更新できているという手応えがあったにもかかわらず、お客さんは増えるどころか、減っていった。それで絶望しました。もう夢が絶たれた、と。それが2020年でしたね。
大好きなラーメンズさんの思い出の場所で
――2020年、M-1はエントリーしなかったんですよね。