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「上半身がパンチの筋肉に…」那須川天心は“プロボクサー”に生まれ変わったのか? 24歳の変わらない本質「僕の人生は格闘技なので」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2023/04/12 11:09
4月8日、プロボクサーとしてのデビュー戦を3-0の判定勝利で飾った那須川天心。日本バンタム級2位の与那覇勇気を持ち前のスピードで翻弄した
那須川天心が持つ「世間を巻き込む力」
2月13日の発表記者会見で、天心は「ボクシング界からの果たし状」というテーマを掲げた。試合前は「(自分は)外敵で『お邪魔する』という感覚」もあったという。しかしながらデビュー戦を終えると、その感覚は一変していた。
「アウェイな感覚はなかった。やり方次第でホームになると思った」
大相撲同様、ボクシングは広く世間に認められた格闘技だ。だからこそ大きな試合になれば地上波がこぞってニュースで扱い、全国紙のような一般メディアも取り上げる。対して、キックやMMAのような「大相撲やボクシング以外の格闘競技」は、そこまでのポピュラリティを得られていない。それでも、自身が確かな足跡を残していたキックや空手にプライドを持つ天心は、ボクシングもそれらと同じく「大文字の格闘技」の範疇に入る競技だと捉えている。ボクシングは特別な格闘技だが、今まで自分がやってきたそれも特別なものなのだ。
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「デビュー戦を終えてリングから見える景色は変わったか」という質問に、天心は「変わっていない」と即答し、言葉を続けた。
「僕の人生は格闘技なので」
アマチュアキックボクサー時代から天心を見てきた筆者は断言する。賛否を問わず、天心がこれだけ世間を騒がせる要因は、彼が生まれながらに持っている「世間を巻き込む力」である、と。
コークスクリュー気味にクルクルと回っているのは十八番の左ストレートだけではない。「那須川天心」という生き方そのものが、大きな渦となって世間を巻き込んでいるのだ。
今夏、国内で予定されている第2戦では、どんな「巻き込む力」を見せてくれるのか。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。