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「ちゃんと知っていたのは…」トラウト斬りの20歳・高橋宏斗が帰国後に明かした驚きの本音 「嵐」二宮をも魅了した“ブルペンの迷い猫”が隠す爪と牙
posted2023/04/10 17:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Naoya Sanuki
侍ジャパンが世界一を奪回する原動力となったのが、強力投手陣だ。その能力の高さを裏付けるように、それぞれの所属チームに戻ってからも競うように好投している。ただ一人、開幕投手を務めた大谷翔平(エンゼルス)から始まって、4月9日現在で9人がのべ10試合に先発して7勝。勝ち負けがつかなかった残り3試合を含め、2点以上失った投手がいないのである。
とりわけ開幕6試合目となる4月6日には、3人の侍が先発し勝ち投手となっている。佐々木朗希(ロッテ)、山本由伸(オリックス)、そして中日の高橋宏斗だ。チームが4連敗と重圧のかかる試合(ヤクルト戦)を任された高橋は、1回にいきなり先制ソロを浴びたものの、6回に降板するまで打たれたヒットはその1本のみ。ともに世界一を勝ち取った山田哲人、村上宗隆を連続三振に斬ってとる圧巻の98球で、開幕5連勝だったヤクルトに初めての土をつけた。
「うちの宏斗」は侍ジャパンの“末っ子”
バンテリンドームでは「うちの宏斗」という手製のボードがあちこちで揺れていた。中日からは唯一の選出。ドラゴンズの宝であり希望。そんなファンの誇らしい気持ちと同時に、全身から醸し出す圧倒的な末っ子感を見事に表現した一言である。実生活でも末っ子の高橋は、侍ジャパンでも最年少。チームでも大野雄大、柳裕也、小笠原慎之介といったお兄ちゃんたちにかわいがられている。
その末っ子感が世界に知れ渡ったのが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝のメキシコ戦だった。先発の佐々木に打球が当たるアクシデントがあり、高橋は左中間フェンス奥にあるブルペンへと走った。ところが入口がわからず右往左往。そのほほえましいようすがテレビ中継で流され、SNSでは「迷い猫」として一気に知名度を上げた。