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「久保建英とシルバが絡めば何かが起こる」でも2人の代わりは…不調ソシエダで奮闘“タケのクロスバー直撃弾、古巣選手との旧交”を撮った
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/04/08 11:01
バー直撃のシュートを放つなど、久保建英の奮闘ぶりは伝わる。苦境のチームを救えるか
ソシエダは攻撃面で、シルバと久保が絡むと何かが起こると思わせるものがあった。前半終盤には、久保→シルバ→メンデス→久保とボールが回ると、切れ込んだ久保が、クロスするように走り込んできたシルバにヒールパスを送って相手を翻弄した。
また激しくボールを刈り取りにくる相手に対し、時にはいなすように、時には力強く保持する2人の姿が目立ったが――リーガ前半の頼み綱だったセルロート、メンデスにキレが戻ってこず、流れるようなパス交換は単発で終わり、畳みかけるような攻撃は行えずにいた。
クロスバー直撃のシュートもあった
0-0のまま迎えた後半、ソシエダボールでキックオフ。早々、久保が相対するペドラサをかわしてシュートを放つが、ボールはクロスバーを直撃し、頭を抱えた。久保はメンデスとのコンビネーションでボックス内へ突入する場面も。さらに60分、シルバからのパスを受けた久保が、じわじわとペドラサを後退させるようにボールをボックスまで持ち上がり、メリノへグラウンダーのクラスを送った。一瞬フリーとなったメリノだったが、シュートはわずかに枠を外れた。
ゴールが生まれないまま時が進み、70分、久保はツートップを組んだセルロートとともに、ピッチを後にした。この日の久保は、攻撃時には相手CBパウ、左SBペドラサに加えパレホとマッチアップした中で、効果的な輝きを示しつつ、守備のスイッチ役として、守備ラインからパスを繋ぐビジャレアルに対し、果敢に前プレスに出ている。試合巧者の相手から一度はパスを奪い切りクロスを送る場面もあった。
それだけに、70分の交代は早いようにも思われたが、代表帰りの選手だけに試合展開に関わらず、プラン通りの交代策となった。
特に前述した通り、前半の久保は日差しを受ける中で積極的に前線からプレスをかけており、体力消耗も考慮せざるを得ない点だったはず。この試合だけでなく、リーグはまだ続く、選手のやりくりも大きなタスクの1つとなる。
気温は22度ほどだったが、風などもなく、日向日陰での体感温度差は激しく、隣に座る地元カメラマンは、半袖でも苦しそうだった。
久保とシルバの代わりとなる選手がいない以上…
問題だったのは、久保、セルロートと交代で入った、オヤルサバル、チョが、怪我明けのコンディション調整に苦しんでいる点だった。元々、久保の前線からの守備スキルは卓越しており、パス回しの上手い相手の脅威になってきたが、その久保がいなくなった直後、77分、81分と、交代で入った2人がミスで絡む形で失点を喫してしまった。
試合はそのままビジャレアルから見て2-0で終了。久保はビジャレアルの選手と健闘を称え合って旧交を温める一方、現状への難しさを感じさせる表情を浮かべていた。
ソシエダは、深刻な得点力不足の解消にはいたらず、この不調から抜け出すことはできていない。その点では、敗戦の中でも光を放った久保、シルバにとっても課題となる。そして監督イマノルには――久保、シルバの代わりとなる選手がいない以上、なんらかの違った采配が求められる。次節はホームにヘタフェを迎えての一戦となる。
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