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村上宗隆サヨナラ打→メキシコ人「おめでとう」にお互い涙腺崩壊、“泥だらけのストッパー大谷翔平”に感動…WBC観戦は唯一無二だった

posted2023/04/02 11:03

 
村上宗隆サヨナラ打→メキシコ人「おめでとう」にお互い涙腺崩壊、“泥だらけのストッパー大谷翔平”に感動…WBC観戦は唯一無二だった<Number Web> photograph by UPI/AFLO

アメリカ戦前、日の丸の旗手も務めた大谷翔平。星条旗を持ったトラウトとともに、映画ばりの構図だった

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  侍ジャパンが3回目の優勝を成し遂げたWBC。過去4大会の東京ラウンドを観戦したメモラビリアコレクターが、今回はマイアミで開催された決勝ラウンドも含めた全7試合を観戦した。その体験記・チケット入手方法などをNumberWebでお届けする(全4回の4回目/#1#2#3へ)

 準決勝メキシコ戦、9回裏の攻撃は1点を追う状況だったが、負ける気はしなかった。先頭打者でツーベースを放った大谷が、今まで見たことのない形相で仲間を鼓舞する。続く吉田も四球。その吉田が指さした先にいるのは村上宗隆だ。観客席の周囲からも「ここで打つんだ、村上」「頼むぞ」の日本語の声援が響く。

 そして……村上の打った打球はライナーでセンター方向へと上がった。〈いった? いった?〉と思ったが、この日のセンターからレフトへの打球は、岡本和真のホームランがアロサレーナにキャッチされてしまうなど、鬼門の方向だった。多くの人の祈りを乗せた打球はレフトフェンスを直撃し、視線をサードへ移す。すると大谷、そしてすぐその後ろの代走・周東佑京が――大谷を本当に追い抜きそうな勢いで――三塁を蹴り、選手全員がベースコーチとなってぐるぐると手を回す。

 ホームインだ、ホームイン、サヨナラだ、サヨナラだ!

 一瞬の出来事だった。こんな劇的な瞬間があるだろうか。今まで生観戦した試合で興奮したのは〈2019年イチロー氏の東京ドームでの現役最終試合〉、〈2013年WBCチャイニーズタイペイ戦・9回二死から井端弘和の同点タイムリー〉、〈2022年佐々木朗希の最年少完全試合達成〉などがあったが……これらに匹敵する、いやもしかしたら、それ以上の感情が沸き上がった。 

悔しいはずのメキシコファンが「おめでとう」

 勝利の余韻に浸っていると、メキシコ国旗を持ったひとりのファンが筆者に歩み寄ってきた。すると――言葉にならない声で「Congrats(おめでとう)」と号泣しながら声を掛けてきた。あと一歩でメキシコも初の決勝進出だったのに、その夢が直前で断たれた。そんな状況でも勝利を称える姿に、筆者の涙腺も崩壊した。ハグを交わし〈メキシコの分まで明日絶対勝つ〉と伝えると、彼も頷いてくれた。

 球場の外でもメキシコのファン、アメリカのファン、地元マーリンズのファンの人からたくさんの祝福を受けた。試合が終わればノーサイド、野球でも同様なのだ。野球ってやっぱり素晴らしい、本当にマイアミまで来て良かったと感じた瞬間だった。

 時刻はすでに0時を回り、Uberも捕まりにくくなっていた。そんな時、元シアトル・マリナーズのキングことフェリックス・ヘルナンデス氏が目の前を通り、「Nice game!」「Go JAPAN!」と声を掛けてくれた。キングが言ってくれたのなら、明日も勝てそうだ、優勝するぞ。

アメリカ戦前、ヌートバーのご両親が“神対応”

 そして翌日。アメリカとの決勝戦もまた、素晴らしい空間となった――。

【次ページ】 ブルペンを行き来するたびに大谷が泥だらけに

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