濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
再試合は「するか、バーカ!」ジュリアvs雪妃真矢の“荒れに荒れたスターダム王座戦”は何を残したか?“嫌い同士の両想い”2人が語った本音
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2023/03/31 17:00
雪妃真矢との王座戦はドロー防衛となったジュリア
次の挑戦者は「鳥肌立つほど大嫌い」な中野たむ
次の防衛戦は4月23日、年間最大級のビッグイベントである横浜アリーナ大会で行われる。挑戦者は中野たむ。ジュリアにとって最大のライバルと言える相手だ。2年前の日本武道館大会では、敗者髪切りマッチで対戦。敗れたジュリアは頭を丸めている。
自分とたむは何もかもが正反対だ、とジュリアは言う。過去の発言を引用してみよう。
「私はたむみたいな奴が鳥肌立つほど大嫌いだし、向こうも同じように思ってるでしょう。一生分かり合えないと思います。
アイツはよく泣き言ったりして、自分の弱い部分も平気でさらけ出すんです。私は“レスラーたるもの強くあれ”と思うんですけど、たむはブリっこで媚びまくる上に“弱い部分をさらけ出して何が悪いの”って感じで」
挑戦が決まると、たむは感情をむき出しにした。3月19日の京都大会では、タッグでの対戦を終えるとジュリアを襲撃。リングにハサミを持ち込んでジュリアの髪を切り捨てた。髪切りマッチ後は“合法”にもかかわらずハサミを入れる行為を拒否していたのだが。
「すべて真逆で、やっぱり特別な存在」
さらにスポーツ紙でのたむのインタビューをめぐり、両者はツイッターで罵詈雑言を浴びせ合った。その内容はレスラーとしてのスタンス、生き方から外れて単なる悪口の言い合いのような部分もあった。それもまた「リアル」ではあるが、横浜アリーナで団体最高峰のベルトを争う選手たちには相応しくないようにも思える。
だがジュリア自身はこう語る。
「そうですか? 私は今回の言い合いはプロレスに対するスタンスの違いそのものだと思いますけどね」
忘れてはいけないことがある。両者の根底にも、やはり“嫌い同士の両想い”があるのだ。再び、ジュリアの過去の発言を見てみよう。
「(自分とたむは)すべて真逆で、でもプロレスに対する情熱、情念、自分の中に強い信念がある事は共通してるんです。だから本気でぶつかり合える。どっちも間違ってないのかもしれない。でもお互い“こっちが正しいんだ”と証明したくなるんです。ここまで本気でぶつかり合える相手がいるって凄いことだなって。やっぱり特別な存在なんです」
安っぽい“遺恨”など入る隙間のない関係がそこにある。試合まであと3週間ほど。ジュリアと中野たむはどんな「リアル」を見せ、試合後にどんな言葉を発するのだろうか。
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