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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「ごめんなさい…」ジュリアと鈴季すずは、テキーラ沙弥の胸に飛び込んだ…スターダム王座戦のバックステージに現れた“もう一人の主人公”の物語
posted2023/02/11 11:05
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
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2月4日、スターダム大阪大会のメインイベントには“主役”が3人いた。
1人は“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム王座の初防衛に成功したジュリア。2人目は挑戦者で、ギリギリのところまでチャンピオンを追い込んだ鈴季すず。
そして3人目の主役は、会場で試合を見届けるとバックステージで闘い終えた2人を待っていた。
ジュリアとすず、そして3人目の主役
彼女のリングネームはテキーラ沙弥。ジュリアとすずがアイスリボンに所属していた時代の先輩だ。沙弥とジュリアはタッグチーム「バーニング・ロウ」を組み、アイスリボンのタッグ王者にもなった。
テキーラソムリエの最上級資格を持ち、バーを経営していたこともある異色のレスラー、テキーラ沙弥は2019年に引退。これはジュリアのアイスリボン退団、スターダム移籍と同じ年だ。
沙弥とジュリアは仲のいい先輩・後輩だった。沙弥は引退までの期限を決めて活動していたが、短期間でもいいから組みたいとジュリアがタッグ結成を持ちかけたそうだ。
だが、2人の関係は悲しく唐突な終わりを迎えてしまった。2019年10月12日、後楽園ホールでの沙弥の引退興行は、台風の接近により中止となる。沙弥とジュリアは最後のタッグを組むことになっていたが、それは叶わなかった。
そのまま2人が会うこともなくなった。直後にジュリアがアイスリボン退団を発表。10月14日のスターダム後楽園大会に登場すると参戦をアピールした。誰にも相談せず、1人で決めたことだった。
業界は騒然。激怒するファンもいた。単にアイスリボンをやめてスターダムに移ったというだけではなかったからだ。ジュリアは引退する沙弥を見送ることなく出ていった。そこが、誰にとっても一番の“引っかかり”だった。