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WBC米国代表も驚いた大谷翔平の二刀流…2年前の球宴で語った「冗談かと思ったよ」「この男はどうやって明日投げるつもりだろう?」
text by
ブラッド・レフトンBrad Lefton
photograph byGetty Images
posted2023/04/02 17:00
2021年のMLBオールスターのホームランダービーに出場した大谷翔平。キャッチャーは水原一平通訳が務めた
「息子を連れて、グラウンドで一緒にダービーを観ていたんだ。彼は目を丸くしてずっと大谷のバッティングを見ていたよ」
4歳の長男、フレドリック・“チャーリー”・フリーマン3世は、パドレスの若きスラッガー、フェルナンド・タティスJr.の大ファン。今回のオールスターで誰よりも会いたがっていたのはタティスJr.だった。チャーリー君はダービー前のベンチでツーショットの写真を撮り、夢が叶って興奮していたそうだが、その日の楽しみはまだ残っていた。
「まだ小さいから、集中力がなくてね。いつもは、すぐに帰りたいと駄々をこねるのに、あの日は大谷を見るまで帰らない、と言うんだ。大谷が負けるまで、集中するどころか、口を開けてじっと見ていたよ。今はまだタティスJr.が一番みたいだけど、ショウヘイがかなり追いついてきたみたいだね。チャーリーはピッチングもバッティングも大好きだから、ショウヘイの熱狂的ファンにならないわけにはいかないよね」
そう目を細めて話すフリーマンはすっかりパパの顔になっていた。
リアルミュート「まさにアスリートという感じ」
今回が3回目のオールスターとなったフィリーズの捕手、J.T.リアルミュートもまた、大谷はテレビで観るだけの存在で、生で見るのは初めてだった。
「想像していたよりも背が高かった。それに体もがっちりしていて、まさにアスリートという感じだった。バッターでも、ピッチャーでも、選手にとっては怪我をせずにシーズンを過ごすというのは永遠の課題なんだけど、二刀流をやりながらコンディションを保っていることは、素晴らしい、の一言に尽きる。バッターの立場で言えば、毎日バットを振り続けるだけで結構な疲れになるから、常に対処が必要なんだ。大谷はファンやメディアが見ていないところで必死にトレーニングしているんだと思う。それにしても、すごいよね」