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[スラッガー3人に訊く]大砲たちが唸った球宴二刀流劇場 フリーマン/リアルミュート/アレナド

2021/09/10
フレディ・フリーマン 1989年9月12日、米カリフォルニア州生まれ。2011年から11年連続2桁本塁打。'18年最多安打、'20年ナ・リーグMVP。196cm、100kg
ホームランダービー出場翌日の先発登板は、対戦相手をも感嘆させた。フリーマン、リアルミュート、そしてアレナド。ナ・リーグを代表する3人の強打者が振り返る、歴史的オールスターの記憶。

 フレディ・フリーマンが笑った。

 彼が「ほら」と電光掲示板を指さした方向に目を向けると、そこにはメジャーのホームラン王争いの順位表が映し出され、その一番上に「SHOHEI OHTANI」の文字が輝いていた。

「メジャー全体で最もホームランを積み重ねている男が、今晩エンゼルスの先発としてマウンドに立つことになっているんだ。そんなこと、あり得るかい? まったく、信じられないよね」

 ブレーブス一筋12年目のフリーマンは昨年のナ・リーグMVP。今年、5回目のオールスター選出を果たしたメジャーを代表する強打者も、大谷のとてつもない活躍にはただただ驚くばかりだという。

「野球はバッティングだけで十分大変なんだ。毎日毎日、試合がはじまる5時間前からトレーニングをして準備しないといけないからね。それにピッチング専用の練習や準備を加えるなんて、想像もつかないスケジュールだよ。1日でも疲れるはずなのに、半年以上、毎日そのスケジュールをこなすなんて、本当に信じられない。並外れた身体能力だけじゃなくて、精神力も不可欠だろう。大谷がどんなルーティンをこなしているのか、どのように試合に臨むのか……僕は彼のことをもっと知りたいんだ」

 フリーマンと大谷はリーグが違うため、普段は対戦する機会がない。フリーマンが初めて大谷の二刀流を目の当たりにしたのは、7月にクアーズ・フィールドで行われたオールスターだった。「彼の姿を見るのをとても楽しみにしていた」と話すフリーマンは、ナ・リーグの4番・一塁としてスタメンに名を連ねた。直接の対戦はなかったものの、彼はネクストバッターズサークルから大谷がナ・リーグ打線を三者凡退に抑える姿を見て、守備では大谷の一塁ゴロをさばいた。「多角的に大谷を観察することができたよ」と嬉しそうに話す。ただ、同じ左打者として最も印象に残ったのは、試合中ではなく一人の観客として楽しんだホームランダービーだった。

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photograph by Getty Images

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