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「日本のプロ野球を…なめるなよ…」WBCは“世界甲子園”だ…大谷翔平もヌートバーもスゴいけど、“NPBファンが喜んだ”巨人4番・岡本和真の3ラン
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byAFLO
posted2023/03/18 17:00
準々決勝イタリアに勝って喜ぶ、大谷翔平とヌートバー、近藤健介
“WBCで名前を知られた”初めての巨人4番打者
特に5打点の活躍の岡本は、昨季は5年連続30本塁打こそ達成したものの打撃不振に喘ぎ、シーズン後半は4番の座を中田翔に譲った。今季から坂本勇人に代わり新キャプテンに就任。代表の壮行試合では本職の内野だけでなく、左翼の守備にも就く背番号25の姿。そういう献身的なスタンスで代表チームに臨んでいた男が大一番でヒーローになった。見たか広岡達朗よ……じゃなくて、一昔前は、毎晩の地上波ナイター中継で自然と世間に浸透していった巨人の4番だが、96年生まれの岡本は「WBCをきっかけに名前を知られた初めての巨人4番打者」になるのかもしれない。
役者が揃い、日本列島がお祭り騒ぎとなった史上最高に明るく楽しく強い、侍ジャパン。圧倒的な強さで準決勝進出を決めたこのチームが、アメリカの地で初めて追い込まれたときにどんな姿を見せてくれるのか? 世界の野球強国とガチで戦い、数十億円貰っている一流選手が甲子園のように目の前の一球に人生を懸けるWBCの魅力。そして選手とファンは、その緊張感をワリカンする。今回は、いつもは海の向こうで現実感のない超人的な活躍をしているスーパースター大谷翔平が、東京で我々と同じ空間と時間を共有してくれたからこそ、あれだけの熱狂を生んだのである。
準決勝と決勝。残すは、あと2試合。朝から日本の野球ファンは、祈るような気持ちでテレビの前に座って声援を送るのだろう。その瞬間だけは、誰かのオオタニサンじゃなく、「俺らの大谷翔平」なのだから――。
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