「佐野さんが最初にやってくれて、すごくいいなって。ホームランを打つたびに、チーム内やファンが盛り上がってくれるようになって、やって良かったなって思っているんです」

　今や牧のおかげで全国区となった『デスターシャ！』。牧の求心力は、侍ジャパンの中で日に日に高まっていると言っていいだろう。

©Nanae Suzuki

無念の参加辞退、鈴木誠也は“学生時代からの憧れの存在”

　そんな代名詞ともいえるパフォーマンスを終えた後、牧の目に映るものがある。それはベンチ内に掲げられた鈴木誠也のユニフォームだ。じつは牧にとって鈴木は学生時代から憧れていた選手だ。長打はもちろんアベレージも残せる鈴木のバッティングは、牧からすればひとつの理想でもある。

　侍ジャパンの強化合宿前に牧に会ったとき「ついに誠也さんと一緒に野球ができますね」と声を掛けると、「はい！ めちゃくちゃ楽しみです！」と目を輝かせていた。しかしご存じの通り、鈴木は脇腹の負傷により参加辞退を余儀なくされてしまった。

　鈴木本人はもちろんだが、牧もきっと無念だったに違いない。もしかしたら「誠也さんのためにも」との思いで、WBCを戦っているのかもしれず、そうやって見ると牧のプレーにより重みを感じてならない。

©Nanae Suzuki

　侍ジャパンが悲願のWBC優勝を奪還するまで、あと3勝。並みいるトッププレーヤーのなかで果たして“ハマの4番”は、フィールドとベンチでどんな輝きを見せてくれるのか。アメリカの大空のもと『デスターシャ！』の雄叫びが響き渡ることを楽しみに待ちたい。

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