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「“裸でエプロン“はだらしない体じゃダメ!」 山崎颯一郎(24歳)とは何者か? 強靭な美ボディが繰り出す魅惑の160キロ〈侍ジャパンに追加招集〉 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/03/14 17:01

「“裸でエプロン“はだらしない体じゃダメ!」 山崎颯一郎(24歳)とは何者か? 強靭な美ボディが繰り出す魅惑の160キロ〈侍ジャパンに追加招集〉<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

侍ジャパンに追加招集された山崎颯一郎(24歳)。大きな期待と離脱した栗林の思いを背負って合流する(写真は昨年11月の強化試合)

「山崎颯一郎」、「筋肉」、「ブレーク」と言えば、このキーワード抜きには語れない。人呼んで「吹田の主婦」。昨年の日本シリーズでは、山崎がマウンドに上がるたびにSNS上に飛び交い、検索ワードのトレンド入りを果たした。

 石川県加賀市出身の右腕と大阪北部のベッドタウンは縁もゆかりもなく、そもそも「主婦」ですらないのだが、20年12月にオンラインで開催されたファンフェスタで謎のキャラクター設定で登場して以来、オリックスファンの間でじわじわ浸透していた異名が、頂上決戦での活躍と共に一気に広がったのだ。

ファンフェスタの料理対決に“裸エプロン姿”で登場したことをきっかけに「吹田の主婦」というキャラクターが定着した山崎颯一郎。この度、グッズ化も決まっている(球団公式Twitterより)ファンフェスタの料理対決に“裸エプロン姿”で登場したことをきっかけに「吹田の主婦」というキャラクターが定着した山崎颯一郎。この度、グッズ化も決まっている(球団公式Twitterより)

「吹田の主婦」の扮装は、上半身裸にエプロンと三角巾姿。巷の主婦像とは程遠い鍛え上げられた筋肉美とのギャップが妙味だ。

 当時の球団公式ツイッターによる紹介文は、「料理教室だと思って来たら、料理対決の審査員をする羽目に。MAX151キロを誇る吹田のうっかり豪腕主婦」。なんやそれ、とツッコミを入れつつも、当時MAX151キロだった球速が2年間で9キロも上がっているという事実に恐れ入る。今や打者を鮮やかに料理する“きっちり豪腕主婦“となった山崎も、この枕詞は案外気に入っているようだ。

「だらしない体じゃ“裸でエプロン“はダメなので! そのためにもウエートしています。むしろそのためだけですね(笑)」

「デグロムの投球動画を見て思った」

 関西球団特有のノリを楽しみながらも、話題性の先をいく進化への設計図も描く。このオフから取り組んでいるのは、「捻転性」を高めるトレーニングだ。右投手の場合、投球動作は骨盤を左回転させながら前方へ重心移動していくが、この時に踏み込む左足を開かず力を逃さないようにして上半身が回転することで相反する捻りが出力としてボールに伝わっていく。

「メジャーリーグの(ジェイコブ・)デグロムの投球動画を見ていて思ったんです。思い切り投げているという感じはないのに、スッと投じてコンスタントに163キロくらい出ている。出力の仕方が上手なんですよね。もっと体重を増やして筋力を上げることも大事ですけど、柔軟性や捻転性もさらにプラスして自分の体を最大限に使えるようにしたいと思っています」

【次ページ】 “165キロ“大谷超えの期待も

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