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「“屈辱”と表現するのも恥ずかしい」韓国人記者が冷静に振り返る惨敗の“韓日戦”「ダルよりイマナガが怖かった」「ヨシダ“大型投資”の理由がわかった」
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/13 09:40
第2先発としてゲームを引き締めた今永(左)と、勝負強さを発揮した吉田。韓国メディアは大谷同様にその力を認めた
「キム・グァンヒョンがトップの座を守る15年間、その後を継げるほどの力量を見せた投手は誰もいなかった」と厳しく非難したのはスポーツ&芸能メディア『OSEN』のチョ・ヒョンレ記者。国内KBOリーグで“有望株”と期待されながら、WBCの舞台で明らかになった若手の“実力不足”を同記者は嘆いた。
「世代交代の旗手とされた有望株たちは世界の舞台で気後れし、本来の力を発揮できなかった。期待は大きかったにもかかわらず、いざふたを開けてみると、彼らの競争力はKBOリーグ内に限られていた。“韓日戦のプレッシャーを乗り越えられなかった”という問題ではなく、それが実力だったのだ。日本の若手の技量や成長スピードと比べて、KBOリーグの“有望株”と呼ばれた投手たちがどれだけ残念だったことか……」
大谷同様に韓国を驚かせた3選手
では、自国代表を圧倒した侍ジャパンの選手たちを韓国メディアはどう評価したのだろうか。『スポーツソウル』野球担当のキム・ドンヨン記者が答えてくれた。
「大谷翔平(エンゼルス)の話を欠かすことはできません。彼は想像通り素晴らしく、驚異的な選手だった。韓国戦でも3打数2安打1打点と当たり前のように活躍しましたよね。大谷について私から言うことはありませんよ」
「大谷は文句なし」という口ぶりで切り出したキム記者は、「ただ、大谷以外にも印象に残った日本の選手はいます」とし、3人の選手の名前を明かした。真っ先に挙がったのは、ダルビッシュ有(パドレス)の後に第2先発を務めた今永昇太(DeNA)だ。
「韓国打線は日本の先発ダルビッシュを上手く攻略し、先制点を得ることができましたが、今永にその流れを阻まれた。彼の好投で韓国の勢いが止められたと感じました」
今永のことは日韓戦が行われる前から高く評価していて、「DeNAの左腕エースとして素晴らしい活躍を披露し、昨年にノーヒットノーランを達成したことも知っていた」というキム記者。
それでも、「最速154kmの速球はもちろん、コントロールも良かったですよね。想像以上のピッチングで、正直、ダルビッシュよりも今永の方がもっと怖かった」と、韓国打線を沈黙させた好投に舌を巻いたようだ。
2人目は、3打数3安打5打点の猛打で日韓戦勝利の立役者となった吉田正尚(レッドソックス)。「なぜレッドソックスが5年9000万ドルという“大型投資”をしたのか、その理由がハッキリとわかりました」とうなずきながら、“象徴的な場面”として3回裏の逆転2点タイムリーを挙げた。
「あの場面は直前にキム・グァンヒョンが打ち込まれ、3点差が1点差に縮まり、韓国ナインの間で“絶対にやられてはいけない”という緊張感がピークに達していました。ただ、そこで2番手ウォン・テイン(サムスン・ライオンズ)の勝負球チェンジアップが打ち返されてしまった。吉田からはどこに球を投げても打ってしまいそうなオーラを感じました」