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「20シーズンの経験はメリットでしかない」F1現役最年長アロンソが開幕戦3位表彰台、41歳が見せた老獪な駆け引きとは
posted2023/03/09 17:02
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
ディフェンディングチャンピオンのレッドブルが1−2体制を築いて他車を引き離していったレース後半、2023年の開幕戦バーレーンGPのもうひとつの戦いの幕が切って落とされた。
ここ数年レッドブルと優勝争いを演じてきたフェラーリとメルセデスの後方から、緑色のマシンが猛然と迫ってきた。今年アストンマーティンに移籍したフェルナンド・アロンソのマシンだ。
1981年生まれのアロンソは現在、41歳。2001年にF1デビューし、今年がF1での20シーズン目となる大ベテランであり、もちろん現役最年長だ。今年F1にデビューしたマクラーレンのオスカー・ピアストリの父親と同い年。20代のドライバーに囲まれながらも、老いはまったく感じさせない。
開幕前、チームメートのランス・ストロールがトレーニングで右手首を骨折し、参戦が危ぶまれた(開幕戦には出走し6位)。アロンソも昨年4月のオーストラリアGPの予選でクラッシュして両手を負傷したが、手にテーピングを巻きながらレースを続けた。
「両手の骨を何本か折ってしまった。完全に回復したのは8月の夏休み後だった」(アロンソ)
アロンソがそこまでしてレースを続ける理由はただひとつ、「勝ちたい」という情熱が心の中で燃え続けているからだ。
いまだ尽きせぬ闘争本能
「20シーズン戦ってきた経験はメリットでしかない。だから、年齢的な心配はまったくない。大切なのは気持ちなんだ。F1マシンをドライブしたいという情熱がなくなったり、もう旅に出たくないと感じたとき、あるいは朝起きてトレーニングする意欲がなくなったら、そのときがステアリングを置くときだ」
アロンソは昨年の8月、大きな決断を下している。アストンマーティンへの移籍だ。
「彼らのプロジェクトは魅力的だった。非常に野心的で、ファクトリーにはとても才能のある人たちがいた。その多くの人たちが成功を強く望んでいる。それは私が歩もうとしている道と同じだった。トップチーム以外でもそんな集団があったなんて、うれしい驚きだった」