F1ピットストップBACK NUMBER
「ユウキは新しい一歩を踏み出した」アルファタウリ代表も評価、目の色変えて3年目に臨む角田裕毅が熱望した存在とは
posted2023/03/23 11:01
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images / Red Bull Content Pool
「心が変われば行動が変わる。 行動が変われば習慣が変わる。 習慣が変われば人格が変わる……」
これはアメリカの哲学者ウィリアム・ジェームズが残したとされ、野村克也氏などスポーツの指導者や多くの心理学者も引用する名言として広く知られている。
3年目のシーズンを迎えた角田裕毅を取材していて、この言葉がふと脳裏に浮かんだ。
角田がF1ドライバーになった2021年から、誰よりも多く取材を重ねてきた自負を持つ筆者の目に、今年の彼は過去2年間と明らかに違って見えるからだ。
その変化の要因のひとつに、マネージャーの存在がある。F1ではチームやスポンサーと交渉するためにドライバーがマネージャーを雇うのは一般的で、多くのドライバーが個人的にマネージャーと契約を結んでいる。
ホンダの育成システムから世界に羽ばたき、レッドブル・ジュニアドライバーの一員としてアルファタウリからF1にデビューした角田は、これまでマネージャーの必要性を感じていなかった。ホンダやレッドブルからのサポートがあったからだ。
マネージャーを必要とする理由
しかし、生き馬の目を抜くF1の世界で、マネージャーがなくてはならない存在であることは、現役王者のマックス・フェルスタッペンですらマネージャーを雇っていることからもわかる。そのことを角田は昨年、痛感した。
「2年間F1を戦ってきて、マシンを運転する以外にもいろいろとやることが増えてきたので、もう少しドライビングに集中するためにマネージャーを雇うことにしました」
角田が目をつけたのは、マリオ宮川だった。日本人の父親を持ち、イタリアで生まれた宮川は、80年代からF1でマネージメント業を始め、90年代にはジャン・アレジの個人マネージャーとして活躍。2010年からは小林可夢偉のマネージャーを務めた経験もある。