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《F1開幕》今年も視界良好のレッドブル&フェルスタッペンが狙う大記録を、フェラーリ&ルクレールは阻止できるか
posted2023/03/03 11:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Masahiro Owari
いよいよF1の2023年シーズンが開幕する(3月5日決勝)。その1週前の2月23〜25日にかけては、開幕戦の舞台と同じバーレーンでプレシーズンテストが行われ、各チームがマシンの仕上がりをチェックした。
現在のF1はシーズン中のテストが原則禁止となっており、かつコストキャップ導入によってシーズン中に大規模な開発が行えなくなったため、開幕直前に行われるこのテストの結果がシーズンを占う重要な指標となる。
そのテストで最も印象的な走りを披露していたのが、王者レッドブルとマックス・フェルスタッペンだった。テスト初日に新車「RB19」に乗り込んだフェルスタッペンは、午前と午後のセッションを通してひとりで走り切り、合計157周を走破した。バーレーンGPのレース周回数が57周だから、いきなり2.7倍もの距離を走り込んだことになる。
新車の信頼性を確認したうえで、フェルスタッペンはそのパフォーマンスもチェック。その日の最速のタイムとなる1分32秒837をマークした。フェルスタッペンの走行プログラムは2日目で終了。路面状況が良くなった最終日の3日目に多くのドライバーがフェルスタッペンよりも軟らかいタイヤでタイムアタックを一斉に行なったため、フェルスタッペンの総合順位は11番手で終わった。だがライバルたちの多くが、このテストで最も速かったのはフェルスタッペンだったと認めている。
レッドブル&フェルスタッペンが狙う記録更新
そこでパドックで早くもささやかれ始めたのが、年間最多勝記録更新の話だ。昨年、フェルスタッペンは15勝を挙げ、ミハエル・シューマッハ(2004年/フェラーリ)とセバスチャン・ベッテル(2013年/レッドブル)が持っていた13勝という年間最多勝記録を更新した。
勝ち星では上回ったフェルスタッペンだが、勝率ではあと一歩及ばなかった。2004年のシューマッハの13勝は全18戦で、勝率は72.2%。2013年のベッテルの13勝は全19戦で、勝率は68.4%。一方、フェルスタッペンの15勝は全22戦で達成されたもので、勝率は68.2%に終わった。
F1の歴代最高勝率は1952年に全8戦中、6勝を挙げてフェラーリ・ドライバーとして初の王者となったアルベルト・アスカリ(フェラーリ)の75%。史上最多の23戦となった今年のF1で、フェルスタッペンがこの記録を破るには18勝以上が必要だ。記録を更新するには、開幕戦から白星を積み重ねていきたいところだ。
ただし、昨年年間最多勝記録を更新したフェルスタッペンには、こんなジンクスもある。フェルスタッペンに更新される以前の年間最多勝記録保持者だったシューマッハとベッテルは、その後タイトルを獲得することなく、F1を去ったという事実だ。もちろんこれは、2人が13勝した翌年のF1はいずれもレギュレーション変更があったことが大きな理由で、今年のフェルスタッペンには当てはまらない可能性は高い。だが、気になるところではある。