「親方から直接電話がかかってきて、お願いされて、すごくうれしかったですね。初めての露払いでしたし。ただ、動きを間違えたらどうしよう、ってドキドキしました」

　土俵の上でも外でも、まだまだこれからたくさんの“初めて”が豊昇龍を待っているだろう。堂々とした立ち居振る舞いがしっかりできる一方で、人間味あふれる素直さを持ち合わせている彼だからこそ、いい経験も苦い経験も糧にして成長していけるに違いない。

©Asami Enomoto

若くして立浪部屋の部屋頭に「大変は大変です」

　まだ若いといわれる豊昇龍だが、所属する立浪部屋では部屋頭としての責任感を常に背負って稽古に励んでいる。

「親方には、みんなが自分を部屋頭として見ているので、若い衆みんなのためにやらなきゃいけない、と言われました。だから、ずっとその気持ちでやっています」

　その重責について「大変は大変ですよ。自分が一番やらなきゃいけないから」と素直に話すものの、この若さで部屋全体まで考えて日々を過ごしていることは、ただただ立派の一言に尽きる。

稽古中の豊昇龍。23歳の若さで部屋頭を務めている　©Number Web

　関脇の地位も定着してきたいま、次期大関の呼び声も高い。今後さらに上の番付を目指すにあたって、どんな修練が必要だと感じているのだろうか。

「いままで通り、やることをしっかりやっていたらいいのかなって。中途半端にしちゃいけないので、思い切りいきたいと思います」

　シンプルかつ抽象的ではあるが、いまの彼には、さらに上の番付が実現可能な目標として見えているのだろう。具体的な目標はあまり口にしない豊昇龍だが、今回のインタビューでは最後に「今年の目標」を次のように語ってくれた。

「去年よりはいい年にしたいなと。なぜかというと、今年24歳になる年男なので。年男だから、今年をいままでで一番いい年にしたい。それを目標としたいです」

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