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「ラップ? 全然いけるよ(笑)」趣味は映画とヒップホップ…豊昇龍23歳の“強メンタルすぎる素顔”とは?「いつも通りでいいじゃん」 

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飯塚さき

飯塚さきSaki Iizuka

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photograph byAsami Enomoto

posted2023/03/12 11:02

「ラップ? 全然いけるよ(笑)」趣味は映画とヒップホップ…豊昇龍23歳の“強メンタルすぎる素顔”とは?「いつも通りでいいじゃん」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

インタビュー中、無邪気な笑顔を浮かべる関脇・豊昇龍。さまざまな重圧を背負って土俵に上がる23歳の知られざる素顔に迫った

 さらに、これまで聞いたことがなかったが、好きな音楽についても尋ねてみた。すると、「基本、音楽はヒップホップばっかりだな……」と言って、最近聞いているオススメをひとつ聞かせてくれた。Young Mo’Gというラッパーの『Mongol Swag』という曲だ。

「めちゃくちゃカッコいいでしょ。これ、いまモンゴルでめっちゃ流行っているの。歌詞を説明するのは難しいんだけど、モンゴルのことを歌っています」

 たしかに、モンゴルの文化や伝統を思わせるMVが、キャッチーなトラックと巧みなフローに合っていて実にカッコいい。筆者も、教えてもらったその日からすっかり“鬼リピ”してしまっているが、彼にはなんとなく内緒にしている。

 送迎の車でもよくヒップホップを聞いているそうで、「自分、ラップ? するよ(笑)。リズムに乗っちゃえば全然いけるよ」と愉快そうに話す。目を細めてケラケラと笑う天真爛漫な表情は、土俵で戦う豊昇龍ではなく、23歳のビャンバ青年のそれだった。

「いつも通りにしてればいいじゃん」筆者を救った一言

 前編では彼のメンタルの安定性に言及したが、こんなこともあった。昨年10月、拙著『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』(ホビージャパン)の出版記念イベントに、豊昇龍がゲストとして一緒に登壇してくれた。トークショーの直前、奥の控室で付け人と一緒にプラモデルやエアガンの雑誌をめくり、はしゃいでいた豊昇龍。そんな彼を横目に、「なんかちょっと緊張してきたかも……。どうしよう……」と筆者がぼやいた。すると、豊昇龍は読んでいた雑誌からパッと顔を上げ、簡潔にこう言った。

「なんで? いつも通りにしてればいいじゃん」

 なんてことのない一言かもしれない。しかし、このときの筆者には彼の言葉が胸の奥にストンと響いた。あまりに純粋な顔で言われたからかもしれない。なにはともあれ、彼の落ち着きがうまく筆者にも伝染し、終始楽しくイベントを終えることができたのであった。

 一方で、珍しく最近「緊張しました」と話していたのは、元横綱・白鵬の宮城野親方の断髪式。親方直々に依頼され、最後の土俵入りの露払いを務めたのだ。豊昇龍にとって、横綱土俵入りで露払いを務めたのは初めてだった。

【次ページ】 若くして立浪部屋の部屋頭に「大変は大変です」

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