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「久保建英と名手シルバの相性が抜群」な決定的瞬間…“90+11分フル出場”を撮って感じるソシエダ監督の「クボへの高い信頼」
posted2023/03/07 06:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
3月3日、ラ・リーガ24節。久保建英所属のレアル・ソシエダはカディスと対戦した。
久保は先発フル出場も、チームは格下カディスから得点を奪うことができず、無得点ドローでゲームを終えている。アトレティコ・マドリーが今節勝利したため、ソシエダは3位の座から陥落した。ここ6試合で1勝と、リーガ前半戦を快調に勝ち抜いた勢いは失ってしまっている。
カディスはソシエダの良さを徹底して消してきた
試合は、金曜21時キックオフとなった。寒波の影響もあり、10度を下回る気温に、スタジアムの外ではチームマフラーを求めるファンの姿も多く、またアップに現れた久保の息も白く写真に映り込んだ。
2万9000人弱の観客に見守られ両イレブンが入場をしてくる。平日開催ということ、勝ちきれない試合が続いていることも影響しただろうか――やや空席も見えるが、マフラーを掲げ、チームを鼓舞する熱量は変わらない。
リーグ戦6試合連続での先発となった久保は、オヤルザバル、カルロス・フェルナンデスが組む2トップ下にポジションを取った。最初のチャンスは前半4分、ブライス・メンデスのFKにメリノが頭で合わせた。メリノの復帰により、中盤の安定だけでなく、守備時、攻撃時ともにゴール前で高い位置を保つことができた。
ただ残留争いに巻き込まれるカディスは、格上のソシエダに対して――負けないための戦いを徹底してきた。ゴール前にブロックを敷く相手に、ソシエダはポゼッションを高めるものの効果的な攻撃を繰り出せない。
その中でも久保は、一瞬の動き出しの速さで相手を置き去りにするようなプレーを見せていた。ただ2枚の相手ボランチが、久保へのパスコースを消すように付きまとい続ける。効果的にボールを引き出し、プレーに関与し続けることはできなかった。
それでも久保は2つのシーンで会場を沸かせた
ボールを保持しつつも決め手に欠くチームに、ややもっさりとした空気が漂う前半、会場が沸くシーンが2度あった。
1つは19分のこと。GKレミロがボールをキャッチした瞬間、前線中央にいた久保が素早くサイドのオープンスペースへ走り抜けると、みごとなフィードが久保の元へ。ボールをコントロールすると迷わずゴールへドリブルを開始する。相対したDFのタイミングをわずかにずらしてシュートまで持ち込んだ。精度を欠いたシュートは、枠を捉えきれず。思わず天を見上げる久保だったが、サポーターの応援に火をつけるには十分だった。