愛　最初はだいたいのリズムでやってたんです。でも、劇場によって声の響き方がぜんぜん違うので、けっこうずれるんです。

――お餅をつく愛さんと、餅を返す誠さんのタイミングが、ですね。

誠　一度、めちゃくちゃスベったというか、反応があんまりよくない日があったんです。あとで映像で見返したら、めちゃめちゃ速くなっちゃってた。ちっちゃいのと大きいのが、大きい声で「アイ！」と、高速で餅をついてるだけで。怖過ぎましたね。そりゃウケないよな、って。

愛　あれはあれで、おもしろかったけど。

誠　だから、テンポを決めよう、と。ああやって体にリズムを叩き込んで、本番では自分たちの中の「160」を信じるしかないというか。

愛　でも、あれを誠がカメラの前で説明しているとは思わなかった。誠が恥ずかしがると思って、私は言わないようにしてたのに。

誠　そうなんですよ。恥ずかしいんですよ、あそこのシーンも。でも決勝の朝だったので、もう怒られたくなかったんです。

――密着カメラの人にね。そういう風に見えました。ボケたらカメラの人に怒られるから、真面目に話しているのかな、って。

誠　そしたら使われちゃいました。

愛　それは使われるよ。

＜続く＞

（写真＝橋本篤）