土屋　何かきっかけがあったわけではなく、急に「やりきったな。もういいな」って思いました。

半身不随ジョッキーへの支援活動

――現在は落馬事故などで半身不随になったジョッキーを支援する活動をアメリカでサポートされているそうですね。

土屋　9年前、引退した5人のジョッキーたちが始めた「Jockeys and Jeans」という団体です。殿堂入りしたジョッキーをメインゲストに集めて、寄付を募っています。私がケンタッキーで乗っていたこともあって、みんなと連絡が取れるので、コーディネーターをしています。半身不随になった元ジョッキーの中には調教師になった方、競馬場の事務局で働いている方もいますが、中にはお食事から介助が必要な方もいます。いま62名の半身不随ジョッキーに毎月1000ドルを支援しています。怪我したその瞬間から収入がなくなってしまいますから。日本でもコラボしてこういった活動ができればいいな、と話しています。

私の人生はIfの積み重なりです

――日米でのジョッキー生活を振り返っていかがですか？

土屋　楽しかったですね。レースもですし、ジョッキー同士の繋がりがすごく温かくて、1人目の夫が危篤で入院した時、パット・デイ元騎手と奥さんが約1時間かけて駆けつけてくれて、お葬式では牧師をやってくれました。

――日本では辛い経験もありましたが、アメリカでいい出会いが待っていたんですね。現在は、カナダとアメリカで殿堂入りしたサンディー・ホーリー元騎手とご結婚されたそうですね。

土屋　人生って不思議なもので、金沢での出来事に関連した騎乗停止処分がなければアメリカには行っていませんでしたし、今の夫と出会ったのもサンディーという名前を女性だと勘違いしたことがきっかけでした。やっぱり私の人生はIf（もしも）の積み重なりです。

　＜「日本時代」編とあわせてお読みください＞

#1から読む

26歳で電撃引退、“伝説の女性ジョッキー”はなぜアメリカへと向かったのか？ 日本時代は「“客寄せパンダ”でした」「先輩は厳しかったけど…」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。