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藤井聡太五冠「わからない所も」、羽生善治九段「対応を誤ると…」マンガな神展開の王将戦+コスプレがエモい〈観る将が描く名珍場面〉
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/日本将棋連盟
posted2023/03/02 06:00
観る将マンガ家が描いた「2023年2月の将棋ハイライト」。過去のイラストは関連記事からご覧になれます!
ただ実際にようやく本来の形で開催できる前夜祭を目の当たりにできて本当に良かったなと感じますし、藤井王将と羽生九段が入場した時、参加者の方々の目がキラキラと光っているのを見て、心から楽しんでいるんだなあとほっこりとした気持ちにもなりました。
で、スポンサーや関係者の言葉に続き、両対局者のスピーチを聞いてみることに。
「羽生先生、めちゃくちゃ慣れてますね。さすが場数が違う」
「藤井王将も20歳であれだけしっかりしてるんだからすごいっすね。自分が同じ年齢の喋り方を思い出すと恥ずかしい……」
スピーチ後こんな感じで編集担当さんと話していると、最後には立川市特産のウド(知らなかった!)や花束を手に記念撮影。2人が来ることで地域振興にもなってるんだろうなあ……と、タイトル戦会場が行われる全国各地に思いを馳せた取材でもありました。
2)藤井五冠の戦いぶりを振り返ってみると
前置きが長くなってしまいましたね、すみません(苦笑)。藤井五冠が2月に戦ったのは8局。その戦いぶりについて、細かく見ていくことにしましょう。
まずは王将戦から。イラストや文章でも描きましたが……第1局から第5局まですべて先手番が勝利し、ここまで藤井王将から見て3勝2敗。初の王将防衛にあと1勝としています。その2月に行われた第4局、第5局ともにシビれる内容でした。第4局で羽生先生が“髪の毛センサー立ちまくり”のキレキレぶりで、藤井王将を押し込んで勝利したかと思えば、第5局では羽生先生が最近の“宝刀”としている「後手横歩取り」から形勢が二転三転(したらしい……)中で、最後は藤井王将が勝ちをもぎ取りました。
第5局後の取材で羽生九段が「対応を誤ると、一気に終わってしまいそうな局面がずっと続いてたので、まとめづらい将棋かなと思っていました」、藤井王将も「わからない所も多かったです」と話していたそうです。それほどまで2人が難しいと思っていた内容に恐れ入りますし、盤上での激しいシーソーゲームぶりに、息を呑むばかりでした。
そして恒例の「勝者の記念撮影」では「バレンタインデーが近いのでショコラティエ→うさ耳バンドの寝起き姿な羽生先生」、「藤井王将がスサノオノミコトに扮してヤマタノオロチ退治→鯛のかぶりもの着用」と、もう凄まじい突っ走りぶり。先月もそうでしたが、妻氏もまた、ネット上で各画像を確認するやいなやコンビニへと突っ走っていきました(笑)。
王将戦以外も振り返っていきましょう。2月最初の対局となったA級順位戦では、研究パートナーとしても知られる永瀬拓矢王座の前に敗戦(永瀬王座、ものすごい準備周到さだったようですね)。名人戦挑戦権争いは3月2日の最終局に懸かることに。6勝2敗で藤井五冠と並ぶ広瀬章人八段らの対局も同時進行する中で、どんなドラマが待っているんでしょうか。
藤井五冠に近づく“もう1つの大偉業”
最年少名人挑戦や六冠なるか、羽生九段との対決など話題満載の藤井五冠ですが、もう1つの大偉業が間近に迫っています。