プロ野球PRESSBACK NUMBER
「俺を変えてくれた」山川穂高が野球人生で一番泣いた日…沖縄の大砲が猛練習を続ける理由「心が折れそうな時は、あの時の光景を思い出した」
text by
花里雄太(スポーツニッポン)Yuta Hanazato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/03/08 11:04
侍ジャパンの全体練習後も“居残り練習”を行い、7日の試合で本塁打を打ってみせた沖縄の大砲。愛称“アグー”のパワーヒッターが猛練習を続ける理由とは…
中部商業1年時には上下関係の厳しさから「1000回ぐらい野球を辞めようと思っていた」。一時は退部を決意する中、1年生大会で人生初ホームランを放ち、翻意。首の皮一枚、野球界に踏みとどまった。
ドラフト2位入団ながら一軍で結果を残せずにいた4年目。2017年7月8日の楽天戦では「あれがなかったらクビだったかもしれない」と振り返る同点の代打2ラン。「全打席でホームランを狙っています」と公言し、昨季までに218本のアーチを描いてきた。
コロナ禍前の2019年5月21日に行われた故郷沖縄でのソフトバンク戦では、沖縄出身選手初の凱旋弾。打った瞬間、総立ちになったウチナーンチュと一向に鳴り止まぬ指笛に「野球人生で一番嬉しいホームラン」と全身を震わせた。
「エリーゼのために」「Summer」を弾けるピアノの腕前
「朝から晩までバッティングのことを考えている」
飽くなき探究心と努力によって培われた類い希な長打力を武器に球界の頂点へと駆け上がってきた。
グラウンドを離れても興味を持ったものには努力を惜しまないのが信条だ。5歳で始めた書道は八段の腕前。ピアノもベートーヴェンの「エリーゼのために」、久石譲の名曲「Summer」などを華麗に弾きこなし、将棋もチーム屈指の実力を誇る。他にも、練習の合間に、チームメートに指笛講座を行うなど、実に多彩。なんでも器用にこなせる、その訳を問うと、決まって返ってくる言葉がある。
4番の差を見せつけられて、屈辱を味わった日
「誰よりも練習したからですよ」