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星野源もラジオで「踊りたくなった」と絶賛…“1億回再生の大バズりダンサー”THE D SoraKi(19歳)はなぜ人を魅了できるのか?
posted2023/02/24 17:00
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Kiichi Matsumoto
1月24日深夜のオールナイトニッポン、星野源は番組半ばでこんなふうな曲紹介をした。
「こないだインスタグラムを見てたら素敵なダンスの動画が上がっていまして、ああもうダンスっていいな、久しぶりに踊ったりしたいなって思った動画があって、そこで流れていたのがこの曲でした」
そのあとに聴こえてきたのは、1980年にヒットしたダイアナ・ロス『I’m Coming Out』だった。
星野が見た動画とは、おそらく昨年12月に南アフリカ・ヨハネスブルグで行われたダンス大会のものだろう。
それ自体は1分ほどの短いものだが、大会が終わってからというもの、SNSで瞬く間に拡散して世界中の人を虜にしていた。
YouTubeには再生回数2500万回、2400万回というショート動画が並び、数ある動画、他のプラットフォームも合わせれば1億再生を超えるのではないだろうか。
それだけの人々がこのダンサーの踊りを目に焼き付けた。
名前はTHE D SoraKi、湘南育ちの19歳ーー。
ダンス界の異種格闘技戦
「向かい風がすごくって、ちょっと遅れちゃってすみません」
1月の終わりとは思えないほどの陽気だったが、海沿いに並ぶ椰子の木がユサユサ揺さぶられるほど風の強い日だった。その中を世界チャンピオンは30分も自転車をこいで来たらしい。
息を弾ませながら席に座った彼は、アイスコーヒーを注文した。
「いやあ、反響がデカすぎてやばいです。自分も訳わからなくなっているような状態ですね。人生180度変わったんじゃないかっていうぐらい一気に変わりました」
世界各国のダンスイベントからゲストダンサーやジャッジのオファーは届くし、取材や出演の依頼も山のように舞い込んできた。SNSでは訳のわからぬ輩からの訳のわからぬDMまで届きまくっている。「それもオモローって感じですね」。フィーバーは優勝から3カ月近く経った今も続いている。
SoraKiが優勝したのは『Redbull Dance Your Style』というダンスの世界大会だった。ヒップホップ、ハウス、ロッキング、ポッピングなど異なるスタイルのダンサー16人による1on1の勝ち抜きトーナメント。昨年が開催4年目で、公式サイトでは“ダンス界の異種格闘技”と謳われている。
この大会の特徴的なところは2つある。歴代のヒットソングで踊ること。そして勝敗をプロのジャッジではなく会場のオーディエンスが決めることだ。
「一般の人に向けているバトルだから、音楽はいつもと違ってメジャーな曲が流れる。お客さんはダンスのスキルまで細かく分かるわけじゃないし、勝敗の基準がめっちゃ難しいんです。より音楽にダンスをはめることが求められる感じですね」
バトルとは1つの曲で交互に踊る方式のことで、ブレイクダンスに端を発し、今では他のジャンルにも浸透している。ダンサーは何の曲がかかるかわからず、知っていようがいまいがその場で合わせなければいけない。
日本予選には出場しなかったSoraKiだが主催者から本戦シード枠のリザーバーとして招待され、欠場者が出たことで16人の本戦トーナメントの枠に収まった。
「出るなら優勝したいし頑張ろうと思ってはいたけど、実際に会場に着いたら集まっている人たちも盛り上がり具合もすごかったです」