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「今年は2000億円を超えるかも」“破格の賞金”でゴルフ界を揺るがすリブゴルフが2年目突入へ〈王道PGAツアーとの争いに変化は?〉
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2023/02/21 06:00
昨季、主戦場をリブゴルフに移したダスティン・ジョンソン(38歳=米国)は個人戦、団体戦、ボーナスを合わせて約52億円を獲得。16年間在籍したPGAツアーで獲得した賞金のおよそ半分を1年で稼いだことになる
昨年のリブゴルフは年間8試合を開催したが、その8試合の賞金総額は破格の2億5500万ドルだった。
だが、リブゴルフが費やした「マネー」は、賞金以外にも山ほどあった。PGAツアーやDPワールドツアーから引き寄せてきた有名選手たちに事前に支払った莫大な契約金などを合わせると、「2022年のリブゴルフの出費は総額8億ドル(約1065億8360万円)に上る」とは、米シカゴ・ビジネス・ジャーナル誌の独自調査の結果だ。
そして、2年目となる2023年のリブゴルフは、当初の予定だった年間10試合が14試合へ増やされ、賞金総額は4億500万ドルへグレードアップされることが、すでに発表されている。
そして破格の賞金以外の諸々の経費を考慮すると、今年のリブゴルフの出費は「総額15億ドル(約2082億円)を超えるのではないか」と、米メディアは試算している。
どの数字も昨年比で倍増に近い急上昇ぶりで、まさに破竹の勢いである。
その勢いを可能にしているものは、サウジが誇る潤沢なオイルマネーだが、いくらなんでも無尽蔵というわけではないだろう。そして、サウジの政府系ファンドPIFがボランティアやチャリティ目的でリブゴルフを支援しているわけでもないはずである。
何かしらの見返りが求められることは必至であり、そこがノーマンCEOの腕の見せどころだ。言い換えれば、それこそがノーマンに課せられた使命のはずだ。リブゴルフをさらに盛り上げ、ビジネス軌道に乗せて収益を得ることが、第一のゴールと考えられるのだが、リブゴルフには、そのために解決しなければならない課題がいくつかある。
リブの障壁になっていた2つの課題
マネー・パワーを駆使してリブゴルフへ引き寄せてきたトッププレーヤーたちの戦う意欲やモチベーションを高く保つために最も求められているのは、リブゴルフ選手がメジャー4大会に出場できる環境やシステムを整えることだ。
メジャー大会の出場資格には世界ランキングによる制約が記されているのだが、現状ではリブゴルフは世界ランキングの対象ツアーとして認められていないため、リブゴルフ選手たちの世界ランキングは、すでに低下の一途を辿っている。
ノーマンCEOが世界ランキングを統括するOWGR(オフィシャル・ワールド・ゴルフ・ランキング)に世界ランキングの対象ツアーとしての承認申請を提出したのは昨年7月のこと。しかし、OWGRからは「検討中」の一言以外には何も得られていない。