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「今年は2000億円を超えるかも」“破格の賞金”でゴルフ界を揺るがすリブゴルフが2年目突入へ〈王道PGAツアーとの争いに変化は?〉
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2023/02/21 06:00
昨季、主戦場をリブゴルフに移したダスティン・ジョンソン(38歳=米国)は個人戦、団体戦、ボーナスを合わせて約52億円を獲得。16年間在籍したPGAツアーで獲得した賞金のおよそ半分を1年で稼いだことになる
もう1つ、大きな懸案事項とされていたのは、リブゴルフの試合を世界に向けて生中継していくためのTV放映権契約を結ぶことだった。だが、その作業は難航をきわめた。
というのも、リブゴルフは「4名×12チーム」の全48名が各ホールから一斉にティオフしていくショットガン形式。このスタイルのゴルフ中継には、どのTV局も不慣れで、技術的にもマンパワー的にも中継作業は難しいと思われていた。
PGAツアーから敵視される危険性、あるいはサウジに対して批判や反感を抱いている人々のネガティブ感情などを警戒し、リブゴルフに背を向けるTV局も少なくなかった。
しかし、今年1月、ついにリブゴルフは米国のCWネットワークと放映権契約を結んだことを発表。2023年の全14試合が生中継され、初日は同ネットワークのアプリで、2日目と3日目はTVでオンエアされることになった。
キーマンが突然の降板…風向き変わる?
リブゴルフ選手のメジャー大会への出場に関しても、すでに道が開け始めている。
オーガスタ・ナショナルは、主戦場がどのツアーであるかに関わらず、「マスターズ出場資格を満たしている選手はマスターズに出場できる」と言い切り、リブゴルフ選手を制限することなく受け入れることを明言した。
全米オープンを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)も、リブゴルフに言及することなく今年の大会出場資格を発表し、リブゴルフ選手を排除しない姿勢を見せている。おそらく、全米プロを主催するPGAオブ・アメリカも全英オープンを主催するR&Aも同様に歩調を合わせてくることが予想されている。
となると、リブゴルフに残された最大の課題は、世界ランキングを稼げるようになるかどうかだが、その見通しは、決して悪くない。
新たなツアーを承認するかどうかを審議・決定するのはOWGRの7名の理事たち。その中にはPGAツアーのモナハン会長や欧州のDPワールドツアーのキース・ペリー会長、インターナショナル・フェデレーション・オブ・PGAツアーのキース・ウォーターズ会長の3名が含まれていたため、リブゴルフが承認されることは決してないと見られていた。
しかし、今年1月、この3名はリブゴルフの申請の審査から自主降板することを突然発表。残る4名はメジャー4大会を主催する4団体の会長たちだ。すでにリブゴルフ選手を受け入れると発表した彼らが、世界ランキングは認めないと結論することは、きわめて不自然な流れになる。
そう考えると、リブゴルフの周辺に吹く風は、かつては強いアゲンストだったものの、今では穏やかなフォローの風に変わりつつあると言えそうである。