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「抑えても抑えなくてもそんなもん」DeNA石川達也がプロ初登板の直前に今永昇太から教わった“無我の境地”「ヤスさんからは『プラスしかない』と…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2023/01/23 11:03
7月14日、プロ初登板を果たした石川。育成から昨季支配下登録され、入江大生、牧秀悟の同学年にあたる育成の星が激動の1年を語った
ブルペンの山﨑からかけられた言葉
「オンオフの切り替えというか、名前が呼ばれるまで完全にオフモードなんですけど、名前が呼ばれた瞬間に目の色がガラッと変わる。また肩を作る準備をしていても、先発が抑えてしまうと『ナイスカバー!』の声掛けで終わることもあるんですけど、それを4~5回繰り返して、いざマウンドに行くとしっかりと自分の仕事をして帰ってくる姿は本当にすごいなって。僕も見習わないといけない」
右も左もわからないルーキーのような状態で心強かったのが先輩たちの言葉だ。よくブルペンで声を掛けてくれたのは守護神である山﨑康晃だった。石川のプロ初登板は7月14日の広島戦(マツダ)だったのだが、当初登板予定だった東克樹の体調不良により、突然巡ってきた先発でのチャンスだった。
「ヤス(山﨑)さんからは『マイナスになることないし、もうプラスしかない。こういう経験はなかなかできないから思いっ切り楽しんで投げてこい』と言っていただけたのが心に残っていますね」
今永からのメッセージ“抑えても抑えなくてもそんなもん”
興奮と不安が入り混じったプロ初登板、ピッチングにおける心の置き所を指南してくれたのはチームのエースである今永昇太だった。
「今永さんは試合前に『“抑えても抑えなくてもそんなもん”という気持ちで行けばいい。例えばフォアボールを出して“俺はこんなもんじゃない”とか余計なことを考えることなく、“そんなもん”って思いながら投げれば自然といいピッチングができるから』と言われ、落ち着いて投げることができました」
自信になった秋山翔吾との対戦
この試合、石川は先発として2回1/3を2失点で終えている。「試合を壊さずよかった」と安堵の表情を浮かべたが、初回は切れのあるストレートを武器に野間峻祥、秋山翔吾、マクブルームを打ち取った。