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「ヤツはド変態ですよ(笑)」スターダム新女王・ジュリアは“妹”との初防衛戦に何を思う?「心にぶっ刺さる戦いを」《新春特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2023/01/18 17:02
2022年12月、念願のワールド・オブ・スターダム王座を手にしたジュリア。名実ともに団体の顔となった赤いベルトの新女王が、2023年の展望を語った
それはまるで、実の妹のことを話すような口ぶりだった。
「その頃、食事中もすずはスマホでデスマッチを見ていたんです。血だらけの映像流しながらご飯食べてるんですよ(笑)。私は食欲がなくなりましたが、すずは本当にデスマッチが大好きなんだなって。ヤツはド変態ですよ(笑)。変わってるなって。それに、みんなが何カ月も練習してやっとできるようになることが、すずはすぐできてしまう。天才肌です。もちろん本人の努力もあるんだけど、他の人の動きをジーっと見ていて、自分の番になったら一発でできちゃったりする。私は凡人なんで、何をやるにも時間がかかるタイプ。『なんちゅう妹だ』と思っていつも見ていました」
ジュリアは続ける。
「でもリングを離れれば、妹以外のなにものでもなかった。いつもすずのことが心配で。それでいてどこか大人っぽいというか、ませている部分はあった。誰とでも仲良くなるのが上手だったり……。とにかくハートが強くて、ただの15歳、16歳じゃないと感じてた。だからジュリアがいなくたって、すずならなんとかするだろう、すずなら乗り越えてくれるだろう、って」
鈴季すずが語った“姉”ジュリアへの思い
“姉”を失い、より強く生きなければならなくなった鈴季は、弱みを見せないように努力を続けてきた。そして2022年、ハードコアユニット「プロミネンス」の一員として、ついにジュリアの前に姿を現した。
鈴季は会見でジュリアへの思いをこう語っている。
「1年前(2022年1月)、スターダムに上がったとき、私はジュリアにとてつもない憎しみをぶつけた。ずっと一緒に生活して姉のように慕っていたジュリアが突然、消えた。そんなジュリアに対して、人間として、妹として、憎しみしか感じられなかった。でも『5★STAR GP』でシングルを戦った。その15分間に、3年間のすべてをジュリアにぶつけた。気づいたら、憎しみとか恨みなんか、どこかにいっちゃった。今の私はジュリアをプロレスラーとして尊敬している。そして私はプロレスラーとして、そのジュリアを超える自信がある。大好きな大好きなジュリアが消えて、ひどい目に遭ったよ。でも、鈴季すずはこんなに強くなってそれを乗り越えた。今度はお前を痛い目に遭わせてやるから」