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「ヤツはド変態ですよ(笑)」スターダム新女王・ジュリアは“妹”との初防衛戦に何を思う?「心にぶっ刺さる戦いを」《新春特別グラビア》
posted2023/01/18 17:02
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「変わらなきゃって思ったんですけど……」
赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)の新王者ジュリアは、そう口にして少し間を置いた。
ジュリアは昨年12月29日、両国国技館で朱里を倒して念願の赤いベルトを手にした。
「団体最高峰のベルトですからね。王者は風格があって、堂々としていて、落ち着いていて、大人っぽくて……そんなイメージがあった。でも、“ジュリアらしさ”って何なんだろうって考えたとき、落ち着いて大人っぽいって、なんか違うなって。自分らしさを大事にしよう、と。私は私で、今まで通りありのままでやっていこう、と思いました。もちろん、チャンピオンはスターダムを代表する“顔”ですから、キチンとしないといけないとは思います(笑)。ただ、あまり考えすぎて型にはまってしまわないように。人間らしく、感情の赴くままに、素直に大胆に、情熱を持って。それが自分らしさだと思います」
リング内外でさまざまな話題を提供し、“スターダムのお騒がせ女”と呼ばれたジュリアは、「ジュリアらしさ、自分らしさ」を強調した。
「あの頃のすずは大事な妹みたいでした」
ジュリアは2月4日に大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で行われる赤いベルトの初防衛戦の相手に、鈴季すずを指名した。ちょっと遅れた感はあるが、この試合ではスターダムのリングに歓声が戻ってくる。
「初防衛戦の相手は鈴季すずがいいなって、前から決めていたんです。大阪のこのビッグマッチでは、ついに声出し応援が解禁される。ファンも3年間ずっと我慢してきたでしょう。そんな特別な日に、私にとって特別な相手であるすずとの夢を叶えたいと思った。ファンとともに帰ってきた歓声をリングの上で体感したい」
ジュリアの話はアイスリボンの新人時代にさかのぼる。
「約5年前、まだ新人だった当時、お客さんが数十人しかいない小さい会場から私たちのプロレスは始まった。あの頃すずと『いつか大きい会場で、2人でメインで戦おうね』と語り合っていたんです。その夢がもうすぐ叶おうとしている」
ジュリアは当時を思い出していた。
「すずは中学を卒業して、15歳でたったひとり宮崎からやってきた。アホ面に鼻水流して(笑)、でも、目はキラキラ輝いていた。あの頃のすずは大事な妹みたいでした。何もないところで躓いて転んだりして……。私の仕事を手伝ってくれてもミスばかりして、逆に私の仕事が増えちゃう。でもそれが、かわいかった」