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[トップクライマー夫婦対談]楢崎智亜×野口啓代「重力に抗うそれぞれのスタイル」
posted2023/01/13 07:01
text by
千葉弓子Yumiko Chiba
photograph by
Ryo Kubota
見上げるほどそそり立った壁に吸いつき、わずかな突起を使って苦もなく登っていく。反重力の動きには肉体のどこが作用しているのか。クライミング界の“最強カップル”が秘密を明かした。
クライミング界のビッグカップル、楢崎智亜と野口啓代夫妻。楢崎は昨年10月に韓国で開催されたアジア選手権でリードとボルダリングを制し、コンバインドを含めた3冠に輝いた。東京五輪後に引退した野口は現在、大会プロデュースなど普及活動に努め、夫婦揃ってYouTubeでも発信している。年末には披露宴を行ったばかりの二人が、「登る」筋肉について語り合った。
――クライマーの肉体の特徴や、お互いの筋肉の強みってどこにありますか?
野口 クライマーが強い部位ってなるとやっぱり背中。大円筋とか広背筋ですかね。
楢崎 でも、広背筋でちゃんとホールドを引けてる人ってほとんどいないよね。めっちゃムズい。
野口 ほとんどの人が背中の上の方で引いてるかな。
楢崎 でも、啓代はもっと下の部分を使って、深く引くことができる。現役の時は背中が腹筋みたいに割れてたもんね。なんで? って思った(笑)。
野口 智亜の場合は連動が得意なので、ひとつの部位という感じではないですね。でも大腰筋はめちゃめちゃ強い。ウエストは細いけど、お腹を締めるバネが強いです。
楢崎 身体を丸めて壁との空間を空けてからパッと飛び出す動きが好きだから。でも今はその動きをあえて封印して動く練習をしてるよ。