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原晋監督「精神的なストレスもあったのかな…」青学大、“5区で失速の誤算”はなぜ? それでも監督は、脇田幸太朗をこんな言葉でかばった
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2023/01/03 06:06
箱根駅伝の5区で順位を落とし、3位フィニッシュとなった青学大の脇田幸太朗
原監督が明かした「精神的なストレスもあったのかな」
4年生の脇田にとっては、これが学生三大駅伝(出雲、全日本、箱根)のデビュー戦。最初で最後の箱根駅伝は、ほろ苦いものになった。
「インカレも三大駅伝も出ていない選手が一発目から活躍できるほど甘くはないのが箱根駅伝だと思います。そんななか、1年生の山川君が走ったのは立派でしたね」
原監督がこう話すように、区間4位ながら従来の区間記録にあと20秒に迫った山川の走りを称えるべきなのだろう。
ただ、脇田を責めるわけにはいかない。実は、前日までは6区・山下りの選手として準備を進めていたのだから。
「状態は悪くはなかったんですけどね。昨日の練習で(6区から5区に)切り替えたので、そういった精神的なストレス等々もあったのかなと思います。6区を起用する予定だったので、(5区終盤の)下りに入ってからは非常に動けていた。最後は頑張った。タラレバ言ってもしょうがないですけど、やっぱ6区の起用だったんだろうなと思います。急遽変更になりましたが、それもまた箱根駅伝ですね……」
こんな言葉で、原監督は脇田をかばった。
青学大の“誤算”の本当の意味
では、どうして前日になって脇田が山上りに抜擢されることになったのか。原監督の“誤算”の真意はここにある。
原監督が慎重に準備を進めていたのが5区だった。
その候補には、脇田のほか、前回区間3位と好走した若林宏樹(2年)、11月に10000mで自己記録を2分以上更新し絶好調の黒田朝日(1年)と、3人も準備していた。
「誰が走っても、1時間11分くらいでは走れる」
かつて“山の神”と称された神野大地ほどの活躍は期待できなくとも、3選手とも区間上位の走りが期待できる力を持っており、原監督も自信を覗かせていた。