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「おまえやんのかゴルァ!」172cmのデクラークはなぜ大男に立ち向かえるのか? “世界一の9番”が明かす、負けず嫌いの原点とは
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph byMiki Fukano
posted2022/12/27 11:06
今季から横浜キヤノンイーグルスに加入した南アフリカ代表ファフ・デクラーク(31歳/172cm)。華麗なパスワークやキックはさることながら、果敢なタックルも光る世界一のスクラムハーフだ
――まず、ラグビーを始めた経緯から教えてください。
D(デクラーク) 父が地元のネルスプロイトのラグビークラブのチェアマンをしていてね。何歳だったかは覚えてないなあ。もう物心ついた頃からずっとやってたよ。
――ということは、ラグビー以外のスポーツをする選択肢はなかった?
D いや、そうでもなくて。テニスもやって、クリケットもやって、体操とゴルフもやってたよ。一番力を入れてたのは、実はクリケット。いろいろやったけど、クリケットのほうが上手かったんだ。
――じゃあ、クリケットのプロになろうとは?
D プレトリアの高校に行くために16歳のときに引っ越したんだけど、それはクリケットのプロになるためでもあったんだ。それがなぜか、プレトリアに行った途端、ラグビーのほうがどんどん上手くなって、ラグビーのプロを目指すことに切り替えたよ。
「身長を理由にメンバーから外された」
――調べてみると、その後のキャリアは結構大変だったみたいですね。
D 昔は、南アフリカには身体が大きな選手が多いので、小柄な選手の可能性は「ない」というのが主流だったんだ。とにかくサイズ重視。僕自身は僕よりデカい9番と同じ仕事ができると思ってるし、実際できるのに、サイズが理由でメンバーから外されていた時期があったんだ。
――そんな理不尽に直面すると、落ち込みませんでしたか?
D とにかく家族の言葉が支えだった。「おまえなら大丈夫」とずっと言い続けてくれたんだ。あと、自分の負けず嫌いと根性かな。「俺だったら絶対できる」という強い信念を持ち続けたよ。
――その負けず嫌いの原点は何ですか?
D 学んだものでも、習得したものでもなくて、生まれつきなんじゃないかな。父も相当な負けず嫌いで、幼い頃の遊びのテニスでも一切手を抜かなかった。自分の子どもが相手なのに、全然勝たせてくれないんだ。だから、「オヤジに絶対勝ってやる!」という気持ちが当時からあった。そこから負けず嫌いが培われたんじゃないかな。
――負けず嫌いで、勝ち気で、強気というのは9番に必要な資質だと思います。ピッチから離れてもそれは変わらない?
D 負けず嫌いなのは普段から出ちゃうね。でも、妻には当然手加減するよ(笑)。