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「バチン! というすごい音が」井上尚弥の完璧なボディを激写…“パンチを予見するカメラマン”がリングサイドで聞いた「危険な衝撃音」

posted2022/12/18 17:07

 
「バチン! というすごい音が」井上尚弥の完璧なボディを激写…“パンチを予見するカメラマン”がリングサイドで聞いた「危険な衝撃音」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

井上尚弥のラッシュを受けて崩れ落ちるポール・バトラー。リングサイドでKOシーンを撮影していたボクシングカメラマンの福田直樹氏に話を聞いた

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福田直樹

福田直樹Naoki Fukuda

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Naoki Fukuda

「このラウンドで決まるかもしれない」――12月13日、有明アリーナ。井上尚弥がポール・バトラーのガードをこじ開け、期待通りのKOでバンタム級史上初の4団体統一を果たした瞬間を、“パンチを予見するカメラマン”はリングサイドからどのように撮影していたのか。全米ボクシング記者協会(BWAA)の最優秀写真賞を4度受賞した福田直樹氏に、歴史的な一戦を振り返ってもらった。

 今回の4団体統一戦では、公開練習から井上選手とバトラー選手を撮らせてもらいました。井上選手の動きはいつも通り力強くシャープで、雰囲気としては6月のドネア戦よりもいくぶんリラックスしているようにも見えました。いい意味での余裕と緊張感が漂っていて、万全の仕上がりだったと思います。

 一方のバトラー選手は、ひとつひとつの動きに乱れがなく、いかにも“正統派のボクサー”というタイプ。公開練習で特に印象的だったのはフットワークです。リングを前後左右に広く使い、多角的に動いていて、シューズとキャンバスが擦れ合う感触を楽しんでいる感じでした。パンチも平均以上で、コンディションはとてもよかったんじゃないでしょうか。

 とはいえ、両者の動きや体の質感を比べると、「3ラウンド以内で井上選手がKOするんじゃないか」と思うくらいの差はありました。もちろん試合の展開にもよりますが、ひょっとしたら、今回もすぐに終わってしまうかもしれない、と。ドネア戦と同様に「最初から集中しなければ」という気構えで撮影に臨みました。

1ラウンドで予想を修正「これはすぐには崩せない」

 結果的に、その予想は覆されることになりましたね。いざ試合が始まってリングサイドから見ていると、バトラー選手はブロックが上手かった。ガードをしっかりと上げつつ、ボディはヒジで抑える。いかに井上選手とはいえ、あのレベルのテクニシャンが守備に振り切ってしまうと早期KOは難しい。1ラウンドが終わった時点で、「これはすぐには崩せないかも」と思い直しました。コーナーに戻るバトラー選手も「やるべきことはやった」という雰囲気を出していましたから。

【次ページ】 「危険な音」がする井上尚弥のパンチ

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